2023.12.13
【猫沢エミさん×野村真季さん『猫沢家の一族』刊行記念特別対談 】どんなにいびつな家族でも、笑って、許して、生きていく
本書の刊行を記念し、パリから一時帰国した猫沢さんのトークイベントが、11月11日「本屋B&B 」にて開催されました。
聞き手は猫沢作品の愛読者で、プライベートでも親交があるという、テレビ朝日アナウンサーの野村真季さんです。
イベントの一部を、ダイジェストでお届けします。
(構成/よみタイ編集部 撮影/齋藤晴香)
『猫沢家の一族』をめぐる数々の怪奇現象
野村真季(以下、野村) エミさん。無事に来てくださってよかった! 日本に来られるかどうか……大変だったんですよね。
猫沢エミ(以下、猫沢) そうなんです。私のインスタを見ている方はご存じだと思うのですが、帰国する前に盗難事件に遭って、滞在許可証から何から一切合切盗まれちゃって……。10月12日の夜でした。あと2時間で13日の金曜日になるという。すごくない?
野村 なんですか、その符合は!
猫沢 わからないんですよね。この本を書き始めてから、不審なことがいろいろ起きまして。邪魔されてるのかな、と思ったんですけど、多分これは一族からのプレゼントなんですよ。「これを乗り越えたら、さらに強靭な精神力をゲットできるから、俺たちからのお祝い」っていう感じ。
うちの場合は、普通の家族関係とはだいぶかけ離れていたので、あり得るな、なんて思っていたら、担当編集さんにも不思議なことが起きたんですよね。
本が出来上がった後、関係者に見本を送るための献本リストというのを作るんですけど、担当さんはすでに発送を完了していたのに、もう一度発送を指示するメールが、深夜に担当さんから編集部スタッフに送られたと。もちろん担当さんはそんなメール送っていないんです。文章も、普段の彼女の文体じゃないんですよね。自動でつくメールのヘッダーもついてない。集英社さんのメールシステムはセキュリティが結構厳しいらしいのですが、どうやって送られたのか、調べても原因がわからないと。
それ、多分うちの母なんです。「天国から面白メール、送るから~」っていうのが母の辞世の句だったので、無駄に手伝ったかなって。
野村 お母さま、最高ですね。
猫沢 呪いではなくて、むしろ喜んでいて、「お手伝いしたい」、「私も混ぜて」みたいな感じだったんじゃないですかね。
野村 本の中で、弟さんの家でも位牌が散乱していたみたいなお話がありましたね。
猫沢 連載が終盤に差しかかったタイミングでした。最終回あたりを書いているときにもいろいろあったんですよ。例えば、キッチンに置いてあったグラスがパーンって割れて粉々になったり、触ってもいない風船が割れたり。
あと、単行本用に最後の加筆をしていて、なんか気配がするなって思ったら、耳元で「おまえもなんか晒せ」って父の声が聞こえたので、「はい、わかりました」って。こういうの無視すると、後々大変なんで。自分も、書かなくてもよさそうな恥を一個晒させていただきます、と。それ以降はおとなしくなったんですけど。