2020.10.24
あだ名は「粘土」と「虫の裏側」 川村エミコ×爪切男初対談「人じゃないものに分類される喜び」
言葉にすることで救われる
川村 明らかに上からでもそれはOKだった?
爪 可愛いんで(笑)。僕は女の子に言われたら基本何でもOKなんですよね。
川村 だから自分に自信のない女子はみんな爪さんと話してほしい。そのままでいいんだよって言ってくれるってことですよね。
爪 まあそうですね。何言われても嬉しいから。
川村 女性に対して腹立ったりしないんですか?
爪 しない……かな。ラーメン屋とかで順番飛ばしされても別に女性だったらいいかな。あと僕、普段からめちゃくちゃ横入りとかされるんですよね……。
川村 私も〜! 割り込みされたり、限定商品が自分の前で終わったり。
爪 そうそう。
川村 そういうの一緒ですよね! それはしょうがない、そういう星のもとだからって思ってるんですけど。
爪 達観ポイントが似ているかもしれないですね。僕もまあいいかと思ってしまいます。
川村 でも、ニヤニヤはしますよね。
爪 ニヤニヤはしますね(笑)。
救いがあるからいいんですよね。僕の前に割り込んでもその人が早くラーメン食べられるからいいとか。
救いがないエピソードは辛いですね。
昔、オープンテラスでホットカフェラテ飲んでたんです、こんなナリですけど。そこに現れた奇特なおじさんが、急に近づいてきて僕のカフェラテに指を突っ込んで「熱っ!」って言ったんです。
僕は嫌な思いをしたし、おじさんは指をやけどするし、みんな不幸で救いがない。この日は珍しく心が落ち込みましたね。
川村 誰かがハッピーなら、という考え方は素敵ですね〜! 心が広い。
オープンテラスといえば私がパッと思い出すのは、他の席も空いているのにトイレの横に案内されたとかそういうことばっかり。それで渋谷に半地下のカフェのような、地下にあるオープンテラスを見つけて、そこに通うようになりました。そこなら誰にも何も言われずにとりあえず平等にオープンには座れるから。
私はそういうのばっかりだから、爪さんのお話を聞いて、私も救いがある角度を見つけていこうって思いました。そうするとハッピーですもんね。
爪 そうですね。このお話も今話せてようやくハッピーになりました。
川村 お焚き上げ〜! 辛いことやしんどいことも、言葉に出すことで消化されたり、客観視できるということはありますね。同級生だし、共通点がたくさん見つかって、すごく楽しくお話しさせていただきました。今日はありがとうございました!
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