2020.9.26
ワークマンからドクターマーチンまで。人気連載コラムのファッションネタTOP5を一挙公開!
ウイークデーの毎夜を大人のウンチクとセンスと茶目っけにあふれる文章で彩ってくれた本連載は、先日9月18日をもって惜しまれつつも最終回を迎えました。
毎週月〜金曜日、休むことなく連載は続き、その数なんと全380回!
この偉業を成し遂げた佐藤さんに敬意を表し、また、長くご愛読いただいたファンの皆様に感謝を込めて、今回は連載完結記念特別企画!
全380篇の名コラムの中から、特にPVで人気を集めた回のトップ5をランキング形式でご紹介します。
もちろんコラム本文と写真は、丸ごと再掲載!
読むだけでワクワクして、なんだかちょっぴりセンスが良くなったような気までしてくるような……。
そんな佐藤さんの“グリズリーワールド”を改めてたっぷりとご堪能ください!
まずはファッション編の上位5篇の発表!
ちなみに次回はライフ編をお届けする予定ですので、こちらもどうぞお楽しみに。
【第5位】裸足よりも快適なリカバリーサンダル
まずは、第72回(2019年7月9日配信)、サンダルの回がランクイン。
「裸足よりも快適」と、佐藤さんが激推しするリカバリーサンダルが紹介されています。
そして、単なる商品紹介で終わらないのが、本連載の魅力。
ストリートスタイルと、サンダルの関係性についても学ぶことができます。
もしかしたら、過去イチのサンダルを見つけてしまったかもしれないという話
ついに究極のサンダルを見つけてしまった。
Dannerのリカバリーサンダル、「ミズグモ フリップ」である。
ここ一ヶ月ずっと履いていて、もはやこれなしの生活はできなくなっている。
「水の上に立っているかのような快適性を体感できる新感覚」という謳い文句だけあって、その履き心地たるやサンダルの固定概念を覆すほどだ。
数年前から徐々に注目を浴びつつあったリカバリーサンダルに興味は持っていた。でも、もっと前からあった“シャワーサンダル”や“マッサージサンダル”と呼ばれる、アフタースポーツ用サンダルとの違いがわからず、なんとなく乗り遅れていた。
しかし履いてみたら一瞬ではっきりわかった。
従来のサンダルと比べてクッション性がはるかに優れて、どんなスニーカーよりも、また裸足でいるよりもずっと快適なのだ。
「ミズグモ フリップ」はアウトドアブーツで知られるDannerが開発したものなので、トレッキング後の疲れた足を回復させる目的のサンダル。でも僕は山なんか全然登らないけど、あまりに気持ちいいので、年がら年中履くようになってしまった。
サンダル履きはアンチファッションのストリートスタイルだった
本コラムでサンダルについて書くのは2回目だ。こだわるのにはちょっとした理由がある。ストリートスタイルにおけるサンダル履きは、実は長い歴史と深い意味があるのだ。
いつもサンダル履きの人といえば、古くは『男はつらいよ』の寅さん(雪駄だけど)、『こち亀』の両さん(便所サンダルだけど)、Facebookのマーク・ザッカーバーグなど、憎めないアンチヒーローが思い浮かぶ。
歴史をひもとくと、サンダルを日常のワードローブとしたのは、1950年代中頃のアメリカ・ニューヨークのグリニッチビレッジやカリフォルニアのバークレーに集った、ビートジェネレーションの若者が最初だったと言われている。
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズといった文学者が先導したビートは、薄汚れた現代社会を否定し、アメリカ開拓時代の純粋なフロンティアスピリッツに回帰することを根本理念とする思想だった。
彼らは伝統社会への軽蔑と離脱を表現するため、ファッションに対してはあえて無関心・無頓着を装う。そして自由であることの表現として屋外を裸足で歩くことを好み、サンダル履きの者が多かった。ビートの思想はその後の1960年代に花開くヒッピーに受け継がれたため、彼らもまたサンダル履きが多かった。
このあたり、かなりかいつまんで説明しているので、詳しく知りたい方は拙著『ストリート・トラッド』をぜひご購読ください。
寅さんや両さん、そしてFacebookもまたビートやヒッピーの思想につながっているのでは? という説を展開するに、このコラムのスペースはあまりに小さすぎる。
とにかく一言で言えば、サンダルとはFREEDOM! なのである。
裸足よりも快適なリカバリーサンダル。
履くだけで心も体も解放された気分になるから、騙されたと思って一度履いてみることを強くオススメしたい。