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【ひろゆき VS 竹中平蔵 炎上必至の口喧嘩対談】竹中平蔵がパソナ会長になった理由とは?

6月24日にひろゆきさんと竹中平蔵さんの対談本『ひろゆきと考える 竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?』が発売されました。

YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」で話題になったトークに、未公開の追加対談を収録した一冊です。

今回、本書の第1章、1万3千字を無料公開いたします! お二人の苛烈な舌戦がとてもスリリングです。この機会にぜひ!

日本経済を牛耳った男?

ひろゆき(以下、ひろ) 過去25年間、日本政府と日本経済を思うがままに操ってきたと言われる(笑)、竹中先生、よろしくお願いします。

竹中平蔵(以下、竹中) こちらこそよろしくお願いします(笑)。思うがままに操っていたら、今の日本はこんなふうにはなっていませんよ!

ひろ ということは、こう変えてたらもっと日本は良くなっていただろうに、っていうことがいろいろあるんですか?

竹中 私はよく新自由主義者とかアメリカ原理主義者とか呼ばれます。ですが、私が提唱していることというのは、「エコノミクス101」と呼ばれる、経済学の本当に基本的な部分なんです。経済だけではなく、社会は基本を間違えると大変なことになってしまいます。なのでまずは基本に忠実に進めていきましょう、と言ってきただけのつもりです。例えば、海外の人に「日本では株式会社は農地を所有することが実質的に許されていない」と言うと、皆びっくりするんです。でもそういう状況がずっと続いてきた。そういうことに対して私は「おかしい」と言ってきただけだと思っています。
 前に家内に言われましたよ、「あなたがこんなに愛国者だと思っていなかった」って(笑)。私は田舎の商店街出身で、一生懸命働いている父親を見て、真面目に働いている人が報われる社会でなければいけない、という感覚が染み付いています。それで当たり前のことを当たり前に言ってきたつもりなんですが、こんなにバッシングされることになってしまった(笑)。

ひろ でも、経済学的に正しく、効率的なことをやっていくことと、国民が幸せになるかって実はズレてるというのは竹中さんもご存じじゃないですか?

竹中 それはよく聞く議論ですが、私たちは他人の幸せには関与できないですよね。あなたの幸せと私の幸せは違う。だから、私たちが最低限言えるのは、やっぱり経済的なある程度の豊かさを確保した上で、それぞれの幸せを個々人が自由に追求していくしかないんだと思いますよ。もう1つ補足すると、経済全体を良くするということと、経済に関わる全員が良くなることは違います。経済全体を良くするのは〈成長〉であり、全員を良くするための1つの工夫が〈分配〉なわけです。小泉(純一郎)さんも安倍(晋三)さんも菅(義偉)さんもみんな成長と分配の好循環をつくらなければならないと言っているけれど、私も全く同感です。
 ただ「幸せ」の議論になってくると、それは次元の違う話です。もちろん「幸せ」を深く考えるのは大切なことですが、それは経済学者としてできる議論ではないと思っています。

ひろ 多くの企業が利益を上げたら全体として経済成長しますよね、っていうのは正しいと思うんですよ。ただそのように成長した後に、欠点・短所として、派遣労働のような形で、給料が安い人やちょっとしたことで即クビを切られる人が残ったじゃないですか。それについてはセーフティネットとして社会保障でやるべきだっていうのは、竹中さんも考えていることですよね?

竹中 ええ。

ひろ 経済成長のための政策をかつて竹中さんがどんどん進めましたね。具体的には労働者派遣法*1を変えるなどして、企業が経済活動しやすい土壌をつくられました。ただ、社会保障が十分でなかったせいで、厳しい貧困層が生まれ、二極化が進んでしまったわけですよね。僕は竹中先生が悪いとは思っていないんですよ。企業が利益を上げやすい体制をつくったほうがいい、というのは経済学的に正しいですから。雇用規制のせいで無能な正社員が残り続けるから、ある程度クビを切れるような非正規雇用みたいな人がいたほうが利益を上げやすいのは事実ですから。

竹中 ちょっとすみません、成長のための政策をやったと言いますが、それが十分できていないんです。だから日本経済は成長していません。それと、そもそも正規雇用と非正規雇用というのは働き方を選べるという側面があるわけですよね。企業が非正規雇用を増やしたというのは事実なんですが、それはなぜかと言うと、日本では1979年の東京高裁の判例*2によって正規雇用がものすごく強く守られているからで、「これでは人を雇えない」という理由で結果的に企業は非正規雇用を増やしていったわけです。でも、いろいろな形の働き方を認めようということと、正規雇用と非正規雇用の間に差別があるということは、別の問題です。本来、その差別をなくすという政策をとるべきなんです。いろいろな働き方と雇い方を認めることは必要で、実際に派遣労働者にアンケート*3をとると約7割は「自分はこの働き方を希望している」と答えています。
 ただ選択肢は増やせたけれど、その間の制度的な不公平が残っている。それをなくそうとしたのが、2016年から安倍内閣で掲げられた同一労働同一賃金でしたが、道半ばでちゃんと進んでいないというのが現状です。ひろゆきさんがおっしゃった問題が存在するのは事実ですが、それは派遣労働など新しい働き方を認めたことが悪い、というのとは全く別です。ですので、その貧困層の現状は、別の政策で対応しなくちゃいけない問題だと考えています。

ひろ 僕もそれと同じことを言おうとしたんですけど(笑)。経済のパイ自体を大きくして、働き方を変えて、企業が利益を上げやすくし、働く人の選択肢も多いほうがいい、というのは当然だと思います。ただそれのデメリットへの対策を日本政府はやらなかった。第1次小泉内閣の時代からもう20年経つわけじゃないですか、でも結局そこのフォローってされてないままですよね?

竹中 そのフォローが不十分だったことは確かです。小泉内閣のときは金融危機だったから、まずはそれをなくすということが最大の使命であったわけです。その後、小泉内閣から第1次安倍内閣に引き継いだときには、私はぜひ1つやってほしいことを申し上げたんですね。それは日本の貧困調査です。日本では貧困調査というものがほとんどありません。
 貧困の測り方には絶対的貧困*4と相対的貧困*5という二種類の基準があります。今の日本では相対的貧困率に目がいきがちですが、これは「所得の中央値の半分以下の割合」なので、所得分布によって数字の解釈が変わりますし、中央値がある程度高い国ではあまり意味がない。そうではなく基準の明確な絶対的貧困がどれくらいいるのかと、そしてその原因は何なのかを調べてほしいと思います。原因は3つ考えられるわけです。①賃金が低すぎるから。②仕事がないから。③働きたくても病気で働けないから。これが大きな3つの原因ですが、どれが主因かによって対策は全然変わってきてしまいます。だからこそ絶対的貧困の数と、その要因は何なのかの調査をぜひやってほしい、と。それを第1次安倍内閣の官房長官の塩崎恭久さんにお願いして、塩崎さんもやろうとしたけれど結局1年で内閣が終わってしまい、その後引き継がれなかった。とにかく厚生労働省が全く動いてくれていないんです。これが日本の現状です。

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ひろゆき

本名:西村博之。1976年神奈川県生まれ。東京都北区赤羽で育つ。96年、中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。99年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。19 年、SNSサービス「ペンギン村」をリリース。著書に『1%の努力』、『無敵の独学術』、『ひろゆきのシン・未来予測』などがある。

竹中平蔵

1951年和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行。81年に退職後、大蔵省財政金融研究室主任研究官、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年より小泉内閣で経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任。現在、慶應義塾大学名誉教授、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事などを務める。著書に『平成の教訓 改革と愚策の30年』、『考えることこそ教養である』などがある。

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