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地方出身女子がハマったマッチングアプリ詐欺とストロング系チューハイの罠

アルコール問題と離職の関係

 アルコール関連問題(健康問題・事故・職業問題・家族問題・犯罪)がある人の多くが、職場を転々としています。要は職場に適応できず飲酒量が増え、遅刻・欠勤・早退が増える、もしくはアルコールによる身体的不調から仕事を辞めるのです。次の職場でも、最初は過剰適応しますが、対人関係トラブルなどからやがて飲酒量が増え、仕事に支障をきたし辞める、の繰り返しです。
 
 Dさんのアルコール依存を親御さんは知らないでしょう。Dさんのその後はわかりませんが、資格職でもあるので、また別の職場で働いているかもしれません。ただ、彼女自身が自分の生きづらさに気づかない限り、アルコール問題の根本解決にはつながらないでしょう。依存症とは、生き方の病でもあります。
 
 Dさんのようなケースは、今の若い人たちにも当てはまるところがあるのではないでしょうか。
 昨今注目されている「発達障害グレーゾーン」だけにとどまらず、五感や感受性の部分が過敏で、例えば同じ空間にいる人の機嫌が肌に突き刺さるような感覚でわかってしまうような人、上司に?責されている同僚を見るだけで胃がキリキリして、その日一日不安でたまらなくなってしまうような人など、会社や学校といった枠組みに適応することが難しく、ストレスを抱えてしまう若い人が増えてきたように思います。
 筆者の勤めるクリニックでも、基本的なあいさつから、精神科の現場で求められる高度な共感能力や人との関わり方まで、コミュニケーション上の問題を抱えているスタッフが増えてきているという実感があります。

 発達障害は、個々に複雑かつ複合的な症状を呈するため、必ずしもアルコール依存症と関連づけられるものではありません。また、発達障害に限らず、統合失調症や双極性障害などの精神疾患を一次障害として、アルコールやその他のアディクション問題が二次障害で現われるケースは多く存在します。こうした場合は、表面化している問題のみへの対応では、回復へとつながらない難しさがあります。

(編集協力:西野風代)

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新刊紹介

斉藤章佳

さいとう・あきよし
精神保健福祉士・社会福祉士。大森榎本クリニック精神保健福祉部長。
1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、アルコール依存症を中心にギャンブル、薬物、摂食障害、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニアなどあらゆるアディクション問題に携わる。その後、2016年から現職。専門は加害者臨床で「性犯罪者の地域トリートメント」に関する実践、研究、啓発活動を行っている。また、小中学校での薬物乱用防止教室、大学や専門学校では早期の依存症教育にも積極的に取り組んでおり、全国での講演も含めその活動は幅広く、マスコミでもたびたび取り上げられている。著書に『性依存症の治療』『性依存症のリアル』『男が痴漢になる理由』『万引き依存症』『「小児性愛」という病——それは、愛ではない』がある。

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