2021.12.14
「『フレンズ』で90〜00年代の感情を追体験」。「smart」元編集長・佐藤誠二朗さんが今年ハマった「シットコム」サブスク動画3選
そんな「おうち時間」を充実させてくれるツールの一つが、サブスク動画。Amazon PrimeやNetflix、Huluなど、多彩な動画コンテンツを楽しむことができる配信サービスです。
そこで本特集では、日頃からエンタメを愛する「よみタイ」の執筆陣に、2021年にハマったサブスク動画を紹介していただきます。今年を締めくくる、特別企画です!
第1回は、現在「よみタイ」で、「CITY BOYおじさん 湖畔でデュアルライフはじめました。」を連載中の佐藤誠二朗さん。
「今年特に長い時間を費やして観たのは、シットコム(シチュエーション・コメディ)」と語る佐藤さんが、特にお気に入りのシットコム作品を3作紹介してくださいます。
各作品のファッションスタイルにも言及されているのは、「smart」元編集長で、ファッションやカルチャーに精通する佐藤さんならではの視点です。
年末年始は気軽に楽しめる作品を観たいという方は、ぜひ参考にしてください!
(構成/「よみタイ」編集部)
同世代の主要キャラに共感 『フレンズ』
1994年から放送がはじまり、2004年までに10シーズンが制作されたテレビドラマ『フレンズ』は、日本にもたくさんのファンを持つ大人気シットコム。
ニューヨーク・グリニッジヴィレッジのアパートの一室でルームシェアライフを送るモニカとレイチェル、彼女たちの向かいの部屋で暮らすチャンドラーとジョーイ、モニカの兄であるロス、そしてモニカの元同居人であるフィービーが織りなす恋愛話中心のあれやこれや。1場面ごとにいくつもの笑いのトラップが仕掛けられているコメディだが、ホロリあるいはしんみりとさせられるシーンが多いのも人気の秘密なのだろう。
スマートなニューヨーカーである彼らに自分を投影するのもなんだが、エピソードの一つ一つに深く共感できるのは、主要キャラの6人と僕がまさに同世代だからだ。劇中の彼らと同様、僕もミレニアムを挟む10年間には、自分に向いた仕事を模索し、仲間たちとバカをやり、いくつかの恋をし、結婚して家庭を持った。自分の記憶とダブらせ、喜びや不安、笑いの追体験を楽しめるドラマだったりもするのだ。登場人物の服装には当時のトレンドが反映されているので、懐かしのおしゃれを見る楽しみもある。
ノームコアファッションの象徴 『となりのサインフェルド』
本国アメリカのテレビ史上で、前例がないほどの人気番組となった『となりのサインフェルド』は、1989年から1998年にかけて9シーズンが制作されたシットコム。
本人役のスタンドアップコメディアン、ジェリー・サインフェルドを中心に、高校からの仲であるジョージ、別れた元カノでありながら親しく友達づきあいを続けるエレイン、そしてアパートの隣の部屋に住む超変人・クレイマーの4人が主要キャストである。
スタート当初はアラサー、終了時にはアラフォーになっている彼らの日常を描いたドラマで、何かが起こりそうで実は何も起こらず、ホロリともしんみりともさせられず、今の時代に見ると度を越しているようにも思える強烈ギャグの連発に、ただ身を委ねるのが快感。登場人物のファッションはニューヨーカー的ではあるものの、みんなどこか垢抜けない。アンチファッション的でもあり、おしゃれをすることの気恥ずかしさを体現する彼らだが、2010年代に起こったノームコアの流行では、“サインフェルドこそがノームコアの象徴だった”と称賛されこともある。男性が持つ小さなバッグを揶揄したり、財布を持つことを「前時代的だ」と評したりするシーンも面白い。