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不登校は悪いことではなく、立ち止まる必要があった生徒への特別カリキュラム。小学校6年間の勉強を1年で習得することが可能な理由とは?

もしお子様が不登校だったり、勉強が苦手だったりして、小学校の内容がおぼつかないとしても、諦める必要はありません。
国語・算数・理科・社会・英語。力を入れるべきところと、手を抜いてもいいところ、実はメリハリがあるんです。それを知っているだけで、保護者はだいぶ心の余裕ができるはず。
指導歴20年、予約が取れない伝説の「不登校専門家庭教師」植木和実さんが、最小限の努力で、最大限の効果が得られる【小学校6年間の勉強を1年で習得する方法】を伝授する連載がスタート!

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不登校は悪いことではなく、立ち止まる必要があった生徒への特別カリキュラム

はじめまして、そして新年あけましておめでとうございます。植木和美と申します。

家庭教師を始めてから20年以上、5年前からは不登校専門のオンライン家庭教師として、毎日生徒たちに伴走しています。生徒たちの、わかった時の笑顔が大好きで、小学校1年生から高校3年生まで、学年・教科を問わず、障がいの有無を問わず、本当に素敵な個性豊かな生徒たちと一人ひとり向き合って教えてきました。長い子で7年、平均で4年。兄弟3人全員の指導をしたお家も複数あります。もちろん晴れの日ばかりではないけれど、雨の日は雨の中を、風の日は風の中を、家庭教師として一緒に伴走してきた時間は宝物です。

私が不登校の生徒たちを教えるとき、いつも意識していることは、「どこで社会に合流していくか」「それまでに何を持たせて送り出すか」です。中学校からみんなに合流する生徒、高校から、大学から合流する生徒、突然登校を始める生徒。みな、とにかく幸せになってほしい。先行きが簡単に見通せない社会情勢ではありますが、その中でどう幸せに生きていくか。そのために、今何が必要か。すべては、自分の幸せな将来を自分で創っていく力をつけていくためにあります。自分にとって幸せは何か、何をすると嬉しいのか、自分にはどんな特徴があって、どう社会の中で幸せになっていくのか。それらを、勉強を通して一緒に知っていこうと思っています。勉強は自分を幸せにするための一つのツールです。そして、勉強は、誰でも習得することができます。

私自身、不登校は一概に悪いことではなく、一人ひとりの個性と環境の不一致で起こり、立ち止まる必要があった一人ひとりの生徒への特別カリキュラムと捉えています。一方で、私が家庭教師を始めた20年以上前とは異なり、多様性が認められつつある今では「無理して学校に行かなくていいですよ、見守りましょう」という方針が主流で、その優しい言葉の陰で、「見守りましょう、と言っていただいても、いつまで見守ったらいいの? 何をすればいいの? 見守り続けて、結局動かなかったらどうなってしまうの?」と、全責任を負わねばならないように感じて混乱するご家族も多いようです。

特に小学校で不登校を経験した生徒のご家族からは、「小学生の内容も理解できていなくて、この先がとても心配」「中学校入学までに、小学校の全範囲を学習しておかなければ、置いて行かれてしまうのでは」というお話しを多く伺います。ご家族の頭の下がるような献身的なサポート、ご心労も見てきました。私自身、障がいのある子供を持つ一人の親として、定形から外れる心細さや、「一体、どうやって育てたら良いのだろう?」「この子をどうやって幸せに導けば良いのだろう?」という困惑や尽きない疑問、「私が頑張らねば、この子の将来はどうなってしまうのか」というプレッシャーも、よくわかります。

多くの生徒たちに長年伴走して感じることは、「それでも生徒たちは、本当は頑張りたい、勉強ができるようになりたいんだな、どこかでみんなと合流して学校に行きたいんだな」ということです。疾患を抱えている子や障害のある子も含め、個性豊かなたくさんの生徒を教えてきましたが、本当にみんな素敵で、時に、ままならない自分を責めながら、それでも頑張っていました。心の底から拍手をしたい気持ちです。そして、教え子たちに限れば、「体と心と勉強が本人の了承するラインに達すると、学校に戻っていく」という、一つの傾向が見て取れました。中でも、勉強の占める割合の大きさに、私自身が驚くことがあります。

「数学の勉強したら、どうやら学校の進度を追い抜いた様だから、学校に偵察しに行こうと思う」「勉強ができるようになって、学校のテストを受けたら思ったより点数が取れて学校に復帰していく」というパターンは王道だったりします。私たちが思う以上に、生徒たちにとって勉強は、大きなウェイトを占めるものなのかもしれません。「勉強するのは嫌だ!」と言いつつ、「神様が、好きな大学に合格させてあげようって言ったら、行く?」という問いには「行く!」と即答する。本当は、勉強できるようになりたいのです。「やらなきゃいけないとは思っていた」「まだ間に合うかな?」と半ば観念するように取り組み始める子もいます。

写真はイメージです。(写真AC)
写真はイメージです。(写真AC)

小学校6年間の勉強を1年で習得することが可能な理由とは?

「小学校低学年から不登校でも、6年間の勉強を1年で習得することは可能ですよ」とお話をすると、驚かれることがあります。自信を持って言える理由は、毎年数人、「小学校低学年から不登校で、その間ほとんど勉強していないけれど、普通高校に行きたい。高校入試に合格したい!」と希望する子がいて、合格していくからです。

家庭教師を始めて間もない頃、不登校の女の子を受け持ちました。

屈託なく幸せそうに笑う、もうすぐ中3になろうとしていたその子は、2歳上のお姉さんも不登校。聞けば「お姉ちゃんがお休みなら、私も!」という理由で不登校になり、小学校2年生から学校に行っていない、中学校は校門すらくぐったことがない、ということでした。
大好きなお姉さんと、大好きなお母さんと一緒の毎日で、何不自由なく幸せそうに見えました。いわゆる「明るい不登校」です。高校はどうするのだろうかと漠然と考えていたある日、その子は、いつもより真剣な顔で、「本当は学校に行かない自分をダメだと思っている」、「高校に行ってまで不登校はしないと決めている」ということを教えてくれました。

小2以降の教科書は、手つかずで全て押し入れに保管してあることは確認済み、英語はbとdの区別がついていなかった。1年で小2から中3までの学習を習得するなんて、可能なんだろうか。でも、これはチャンスだ。絶対にチャンスだ。逃してはいけないやつだ。

不安そうに「間に合うと思う?」と聞くその生徒に、「頑張れば、間に合うかも知れない。大変だと思うけど、絶対やった方がいいと思う。言っちゃったから、やろう。植木も聞いちゃった。一緒に頑張ろう」と伝えた日の帰り道、私は頭をフル回転させて、作戦を練りました。

小2から中3までの8年間分の学習を1年で。小2からの教科書の内容を順に一つずつ教えていては、数年かかってしまいます。高校入試の出題範囲は中1から中3までの3年間分。小学校の学習範囲のどの部分が中学での学習範囲と重複していて、どの範囲を省くことができるのか。毎週1教科ずつ、押し入れに入っている小2から中3までの教科書を持ち帰り、各教科の重複範囲を明らかにして「まとめて学習できる範囲」と「教える順番」を明確にしました。

この女の子、「ともちゃん」の物語は、拙著『ずっと不登校でも1年で希望の高校に合格する方法』(日本実業出版社)にてゆっくり楽しんでいただくとして、結論からいえば、ともちゃんはこの後、志望校として偏差値70近い県立の上位進学校を持ってきます。20年前の当時、私立高校は出席日数を鑑みる学校が多く全滅でした。そのため出席日数を問わず内申点と当日点の合計点で合否が決まるその公立高校に賭け、そして、合格していきました。

その後に教えた生徒たちも同じように、小学校から長年不登校をしていても高校に合格していきました。一口に不登校と言っても、背景はさまざま。疾患を抱えている生徒、障害のある生徒、場面寡黙のある生徒、心の声の大きい子、心の声の小さい子、優しいがゆえ、いじめに苦しんだ生徒、HSPの傾向がある生徒、学習障害がある生徒、ギフテッドの生徒、とあるゲームのアジアランキング保持者、不登校のお友達とオンラインゲームで遊びたくて、うっかり自分も不登校になってしまった生徒。本当に生徒たち一人ひとりが素敵で、私にはどの生徒も可能性の塊に見えます。個性豊かな生徒たち、一人ひとりの頑張った足跡が、やがて道になり、後輩たちへの「メソッド」として確立されていきました。

「小学校6年間分を1年で学習する方法」は、生徒たちの頑張りと一緒にでき上がったものです。先々の大学入試まで見越して、まずは中学の予習を視野に、重複範囲をまとめながら取捨選択し、小学校6年間分の学習を1年で習得することは十分可能です。そして、並行して自分の特性を理解し、一緒に工夫を探し、本当に自分のやりたいことを見つけていく下地を作っていくことは、十分可能だと思うのです。
(ちなみに、『ずっと不登校でも1年で希望の高校に合格する方法』では、小学校の学習内容は全部捨てても問題ありません、と、伝え、その理由を解説しています)

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植木和実

うえき・かづみ●1976年生まれ。不登校専門オンラインプロ家庭教師イエローシードラビー代表。
東京大学大学農学部卒業後、社会人生活を経て、東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程入学。同大大学院博士課程を経て(株)ライフサイエンス社入社。
ダウン症の子どもを出産後、育児を両立する方法として家庭教師の道へ。大学時代からの通算家庭教師歴は20年以上。認定心理士の資格を取得。

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