2020.11.10
いつか躍動美あふれる室伏広治の彫像が建つ可能性について考える~室伏広治(元ハンマー投げ選手)
ハンマー投げだけにはとどまらない室伏の身体能力
むろんそうした「本業」での結果も素晴らしいものであったが、室伏の身体能力の高さに多くの人が驚かされたのは、むしろそれ以外の場面であったのではないだろうか。
例えば2005年4月5日、プロ野球・横浜対巨人戦の始球式に登場した室伏は、軽くヒョイ―とボールを放った。しかしそのボールはズバーンとミットのど真ん中に決まり、スピードガンは131㎞/hを計測したのである。
また、TBS系のスポーツバラエティ「スポーツマンNo.1決定戦」に出演した際も、あらゆる種目で超人的な結果を残し続けた。特に2002年に放送された第8回では、室伏は18m先の旗を取り合う「ビーチフラッグス」、背中をロープで結ばれた2人が互いに引き合う「パワーフォース」、1対1の綱引き「ザ・タッグオブウォー」などの競技で1位となり、猛追するケイン・コスギを制して総合1位となったのだ。特に「ザ・タッグオブウォー」の1回戦で照英と対戦した際には、試合後にうずくまってしまった大柄な照英を、いとも簡単にヒョイと抱き上げた室伏の姿は衝撃的であった。
ここで視聴者は思ったはずである。
「室伏は全ての競技において卓越した能力を持っているのだなぁ」と。
室伏こそ「スポーツの申し子」「スポーツの象徴」なのだ
室伏本人は「瞬発力を要する運動は得意でしたが,持久力が求められる運動は苦手」(文部科学省インタビューより)と語ってはいるものの、それでも普通の人間よりも高い運動能力を有しているのは間違いのないところであろう。
そんな室伏が、東京オリンピック・パラリンピックを見据えて2015年に創設されたスポーツ庁の二代目長官に就任するというのは、ごく自然な流れのように思えた。室伏こそ、いわば「スポーツの申し子」「スポーツの象徴」であるからだ。室伏の姿から彫刻を連想するのも、人間の肉体美や躍動感を室伏が体現しているからなのだ。
就任発表時、報道陣の取材に対して、室伏は「スポーツはトップアスリートだけのものではない。人々の健康などさまざまな観点で社会に役に立つことができるならばすばらしい仕事だと思った」
(NHK Webより)とその就任理由を語った。新型コロナウイルスの完全な収束が未だ見えない中、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの運営、人々の健康増進のためのスポーツ普及など、長官としてやるべき仕事は多い。しかし是非頑張ってもらいたい。
そしていつか、室伏の彫像が本当につくられる日が(できれば初代長官・鈴木大地のバサロ像とともに)来るのではないかと、うっすら期待をしている。