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いつか躍動美あふれる室伏広治の彫像が建つ可能性について考える~室伏広治(元ハンマー投げ選手)

広島カープを、プロ野球を、いやいやスポーツ界をこよなく愛するイラストレーター、オギリマサホ。その愛ゆえか、職業柄か、なんだか気になる、なんとも魅かれる、スポーツ選手たちの顔、顔、顔……見渡せばスポーツ界にはイケてる顔面が大豊作。愛すべきその面々、ちょっと斜め下から分析しちゃいます!
室伏広治(むろふし・こうじ)●1974年静岡県沼津市生まれ。元ハンマー投げ選手で、日本のスポーツ科学者、東京医科歯科大学教授。2020年10月に初代・鈴木大地の後を継いで、第2代スポーツ庁長官に就任。
ハンマー投げ選手としては、数々の輝かしい実績と前人未踏の記録を残し、2004年のアテネ五輪金メダルを評価され、紫綬褒章授与。2016年6月、競技引退の意向を表明したのちは、東京医科歯科大学で、スポーツ科学部門を担当するスポーツサイエンスセンター長に就くなど、スポーツの発展と普及に貢献し続けている。

端正な顔立ちと躍動感あふれるそのフォームは人体美の極み

古代ギリシャ彫刻の歴史をひもとくと、前480年~前330年頃の「クラシック期」の彫像には、それ以前の「アルカイック期」の直立不動のポーズに対して、片足に体の重心をかけ、もう片方の足でバランスを取る「コントラポスト」と呼ばれるポーズが多く見られるようになっている。
この「クラシック期」における代表的な作品の一つがミュロン作の「円盤投げ像」で、人体の美しさと躍動感がいかんなく表現された作品だ。

……なぜいきなり美術史のような話で始まったのかといえば、去る10月1日、元陸上男子ハンマー投げ選手・室伏広治がスポーツ庁長官に就任したというニュースを見たからであった。テレビに映る室伏の姿は、顔も体躯も現役時代とさほど変わらないように見えた。室伏の端正な顔立ちと盛り上がった筋肉を見ると、私はどうしてもギリシャ彫刻、特に「円盤投げ像」を連想してしまうのである。

その室伏の現役時代の活躍は、誰もが知るところだろう。

1998年、同じくハンマー投げ選手であった父・重信の日本最高記録(75m96)を上回ると、その後も記録の更新を続け、2003年に記録した84m86の日本記録は未だ誰にも破られていない。さらに4大会連続で五輪出場し、2004年のアテネ五輪で金メダル、2012年のロンドン五輪では銅メダルを獲得している。
 

まさに「彫刻のような」と形容したくなる容貌と体躯の持ち主、それが室伏だ
まさに「彫刻のような」と形容したくなる容貌と体躯の持ち主、それが室伏だ
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新刊紹介

オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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