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池江璃花子の「福ボクロ」に、彼女の強さを見たような気がする〜池江璃花子(水泳選手)

広島カープを、プロ野球を、いやいやスポーツ界をこよなく愛するイラストレーター、オギリマサホ。その愛ゆえか、職業柄か、なんだか気になる、なんとも魅かれる、スポーツ選手たちの顔、顔、顔……見渡せばスポーツ界にはイケてる顔面が大豊作。愛すべきその面々、ちょっと斜め下から分析しちゃいます!
いけえ・りかこ●2000年東京都生まれ。自由形とバタフライを専門とする水泳選手。個人種目で11とリレー種目で5つ、計16種目の日本記録保持者で、その活躍ぶりに多くを語る必要はあるまい。
本文中にも出てくる「報道ステーション」(2020年2月19日放送)では「今、生きていることが奇跡。人生のターニングポイントになった」とも語った。愛らしく力強く美しい笑顔の復活を心から応援し続けたい。

この人はやはり水の中が似合うな、と思った。
今月2日、練習風景を公開した競泳女子・池江璃花子である。

池江は2016年のリオ五輪代表に16歳で選ばれ、日本人では初の7種目に出場、100mバタフライで5位入賞を果たした。その後も翌17年の第93回日本選手権では5種目全てで優勝、18年の第18回アジア大会で6冠を達成するなど、輝かしい成績を収めていった。水泳に詳しくない人でさえ、池江が東京五輪の有力なメダル候補であることを疑っていなかったはずだ。

ところが昨年2月12日、池江は自身のSNSで急性リンパ性白血病と診断されたことを公表した。
周囲の驚きはもちろんのことだが、一番衝撃を受けたのは本人だろう。公表を行ったツイートで「私自身、未だに信じられず、混乱している状況です」と表現したのも、その衝撃の大きさを物語っている。翌13日のツイートでは「必ず戻ってきます」と綴り、池江は闘病生活に入った。

ツイッターで時折つぶやかれるようになった「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」(19年3月6日)、「外の光でさえしんどく感じてしまうほど」(19年3月11日)という言葉に、見守っている側は、抗がん剤治療の辛さを改めて思い知らされた。しかしおそらく最も辛かったのは、SNSがまったく更新されなかった、昨年3月14日から6月1日までの2ヶ月半だったのではなかっただろうか。

今年2月、病気公表後はじめてテレビ出演した際に、池江は当時のことを振り返って「携帯なんて絶対触れない、テレビも見られない、音も聞きたくない、ご飯も食べない、寝返りを打つのもしんどい」2週間を過ごしたと語っていた(テレビ朝日系列「報道ステーション」2020年2月19日放送)。想像を絶するような苦しみに襲われていたことがわかる。
その後、昨年6月2日に「食べたいものと行きたいとこが多すぎる」とツイートが再開されると、一時退院の際に自宅で誕生日を祝う様子、ディズニーランドに行った様子などが徐々につぶやかれるようになり、少しずつ回復に向かっていることが感じられた。

そして昨年12月17日の退院報告からちょうど3か月となる今年3月17日、プールに入って満面の笑みでピースサインをする池江の姿がSNSに投稿されたのである。実に406日ぶりのプールであったという。入院前に比べれば身体の線は細くなっているものの、着実に競技復帰への第一歩を踏み出したのだという印象を受けた。

競技中ですら愛らしいキュートな表情も池江の大きなチャームポイントだ
競技中ですら愛らしいキュートな表情も池江の大きなチャームポイントだ
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オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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