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「いざゆけ若鷹軍団」で踊るペッパー君を見て未来のスポーツ応援について考えた〜(プロ野球開幕戦によせて)

広島カープを、プロ野球を、いやいやスポーツ界をこよなく愛するイラストレーター、オギリマサホ。その愛ゆえか、職業柄か、なんだか気になる、なんとも魅かれる、スポーツ選手たちの顔、顔、顔……見渡せばスポーツ界にはイケてる顔面が大豊作。愛すべきその面々、ちょっと斜め下から分析しちゃいます!
Pepper(ペッパー)● 感情を認識する世界初のヒト型ロボットで、世界で初めて量産された感情認識ヒト型ロボットでもある。2014年6月5日に発表され、翌日の6月6日より一部のソフトバンクモバイル販売店に設置、同年12月1日にはネスレ日本のネスカフェにて接客を開始し、12月20日に公開された映画『ベイマックス』では、コンピュータの音声役で日本語吹替版に出演もした。今ではホーム、ビジネス、教育といったジャンルごとのプログラミングに対応しているなど、その進化とヒトとの融合性の発達は続いている。

サッカーでは、「サポーターは12人目の選手」と言われる。
11人の選手とファンとが一体となって戦うという意味の言葉だが、それにならってプロ野球においてもファンを「10人目の選手」と呼ぶことがある。2004年の球団創設当初から、「背番号10はファンのための番号」として欠番にしている楽天イーグルスの方針などもその一例だろう。

2020年6月19日、新型コロナウイルスの影響で延期されていたプロ野球が、ようやく開幕した。
本来開幕戦とあれば、どの球場も満員であった筈だ。しかしご存じの通り、感染拡大を防ぐため、当面の間は無観客で試合が行われる。ガランとした観客席を見て、「ファンは10人目の選手」という言葉が改めて思い起こされた。

とはいえ、各球団ともにこの状況を黙って見ているわけではない。少しでも賑やかに、少しでもファンと一体感を高めるために、さまざまな工夫がなされている。
例えばオリックス対楽天戦が行われた京セラドーム大阪では、ファンから寄せられたメッセージが書かれたカードや、マスコットのバファローブル・バファローベル、スポンサーのマスコットであるバファローズポンタのぬいぐるみが客席に置かれていた。
西武対日本ハム戦が行われたメットライフドームでも、ファンのメッセージやイラストが書かれた応援フラッグやメッセージボードが内外野の客席に掲げられていた。
ヤクルト対中日戦が行われた神宮球場でも同様に、メッセージボードが客席に置かれた。

ファン一人一人の顔が反映された演出もある。
神宮球場でメッセージを掲げていたのは顔を隠した人型だったが、横浜DeNAは、オンライン・ファンミーティングへの招待特典などを盛り込んだ「2020開幕応援チケット」を販売し、このチケットを購入したファンの写真を応援パネルにして観客席に設置した。パネルとはいえ、約5000人のファンの顔が客席に並ぶ様子は、あたかも本当に観客がいるかのような錯覚さえ起こさせた。

巨人対阪神戦が行われた東京ドームでも、観客席の椅子の背にオレンジ色のユニフォームが掛けられ、「GIANTS PRIDE」「WITH FANS」などの人文字、いや椅子文字が描き出された。またバックネット裏に大型LEDパネルを設置し、ファンから募集した応援写真を映し出して、あたかもファンが実際にその場にいるかのような演出を行っていた。ファン一人一人から送られてきた画像を合成しているため、違和感があるのは否めないところではあるが。

各球団の苦労が伺える演出ではあるが、やはりメッセージボードもファンの顔写真も「動かないもの」である。実際に満員のファンが球場に押し寄せ、拳を突き上げたり歓声を上げたりする「動的な観客席」とは違う。
ところがここに、小さい動きではあるが、「動く観客席」を演出した球場があった。
ソフトバンク対ロッテ戦が行われた福岡PayPayドームである。

一糸乱れぬ応援合戦が繰り広げられるのか?
一糸乱れぬ応援合戦が繰り広げられるのか?
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新刊紹介

オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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