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「長芋のワサビ漬けの人」ウォルシュ・ジュリアン(陸上選手)〜#いまスポーツにできること

「#いまスポーツにできること」リレーは3レーンに分かれている。

1つ目は4月3日、寺田明日香(100mハードル)からスタートして北村夢(800m)まで、現在12人の走者がつながるチーム(次は七種競技の山崎有紀が指名されている)。
2つ目は4月7日、飯塚翔太(短距離)から始まって佐藤拳太郎まで、現在9人がつながっているチーム(次は金丸祐三)。
3つ目はダイヤモンドアスリート(日本陸連が認定する東京五輪とその後の国際大会で活躍が期待される選手)枠として、4月15日の塚本ジャスティン惇平(100m)の投稿から高松智美ムセンビ(長距離)へと、現在11人がつながるチーム(次はアンカーの藤井菜々子)となっている。

ほとんどの選手は、家でできる体幹トレーニングや、スクワットなどを動画で紹介している。
カエル倒立からの足抜きを紹介する土井杏南(短距離)やら、バランスボールの上に立ってお手玉をする丸山優真(十種競技)など、私がやったら転んで骨を折るか家具を破壊するのがオチといった動画もあるので、もしも真似しようと思うなら、自らの運動能力と十分相談、理解してからにしたい。

このリレーの中で特に異彩を放っているのが、リオ五輪400m代表のウォルシュ・ジュリアンだ。
動画の冒頭、デヴィッド・ボウイのTシャツを着たウォルシュが「皆さん、今とっても大変な状況だと思います。ですが、ひとりひとり目標をもって頑張っていけば自ずと光は見えてくるはずです」と神妙な面持ちで話し始める。

そんなジュリアンがお披露目した元気のもと、健康維持の源とは‥‥

そして「そんなときに元気が出るものを紹介したいと思います。今回僕が紹介するのは……」と続くので、さぞハードなトレーニングかと思いきや、
「ワサビがピリッと効いて」(?)
「歯ごたえもシャキシャキでとっても美味しい」(??)
頭の中が?マークで一杯になった時、ウォルシュが紹介したのは、彼がよく食べているという「長芋のワサビ漬け」のレシピであった。

ジャマイカ人の父と日本人の母を持つ精悍な顔つきのウォルシュ。
そのウォルシュが長芋のワサビ漬けを鼻歌交じりで作っていく。
そのギャップがたまらない。

この先、このコロナ禍が収束し、再びスポーツの大会が再開された時、我々は現在のことをどのように振り返るのだろうか。
私はウォルシュのレースを見るたびに、「長芋のワサビ漬けの人」と思い出してしまうような気がしてならない。

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オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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