2020.3.31
延期となった東京オリンピックで、80歳の法華津の活躍をぜひ見てみたい〜法華津寛(馬術選手)
そもそも人は、何歳までスポーツをすることができるのだろう。
マスターズ陸上や水泳で、時折100歳を超える選手が活躍している姿を見ると、「生涯現役」という言葉が頭に浮かぶ。もちろん私自身はその年までテキパキと動ける自信は全くない。
しかし、いかに「生涯現役」選手であっても、10代や20代の若い選手と交じって互角に戦う、となると話は別である。
法華津と同学年(1940年4月~41年3月生まれ)のスポーツ選手を調べてみれば、板東英二、王貞治、張本勲、ストロング金剛……。確かにみな元アスリートということもあってか、今もなお年齢の割には元気そうではあるが、それでも板東英二が現役選手に交じってマウンドに立ったり、王貞治が日本シリーズで一本足打法でホームランを打ったりする姿は想像できない。
人馬一体の競技ゆえ、愛馬ザズーとともに来年もまた出場を目指してほしい
では、法華津はなぜ、79歳になってもオリンピック出場を目指せるのか。
それには馬術という競技の特殊性が関係してくる。馬術では、実際に障害を飛び越えたり演技をしたりするのは馬であり、人は馬に合図を出して補助する役割をしているのだ。日本馬術連盟のHPには「他のスポーツにおいてはトップアスリートとして活躍できる年齢を過ぎても、馬術競技では馬が体力面をカバーしてくれるため、第一線で活動を続けている選手が多い」と説明されている。
そうは言っても、世の中の79歳のうち、一体何人があのように馬に姿勢よく跨って乗りこなせるのか、と考えると、やはりアスリートとして凄いというのは間違いない。
逆に「人馬一体」の競技だからこそ、いくら人の調子が良くても馬との相性が悪かったり、馬のコンディションが優れなかったりした場合には、大きな影響を被ることになる。
法華津自身も、1988年のソウルオリンピックは馬が検疫を通らなかったこと、2016年のリオオリンピックは愛馬ザズーの体調不良という理由により、出場を断念している。
そのザズーと、何年もかけて信頼関係を築き上げてきた上での今回の東京オリンピックへの挑戦。それが1年延びてしまったわけである。
来年、法華津はオリンピック出場を目指すのだろうか。
体力的に厳しい部分もあるだろうが、私はぜひ目指してもらいたいと思っている。
「80歳のオリンピック選手」って、何だかとても格好良くないですか。