2020.2.18
メイクを武器に100度目の表彰台を目指してほしい~高梨沙羅(スキージャンプ)
まだあどけないとも言えたその面差しは、当然のごとくその成長とともに、そしてそのジャンプの実力とともに、変化と進化を遂げ、いまや23歳の年齢にふさわしい大人の魅力にあふれている。20歳ぐらいから、身だしなみとしてフルメイクで競技に臨むようになり、そのキレイっぷりも注目されるように。
どうしても廃止してほしいことがある。
なにか事件が起こった際、ワイドショーで被害者や容疑者の中学時代の卒業アルバム写真を使う、あれをやめてもらいたいのだ。
当人の現在の写真が入手できなかったマスコミが、同級生に片っ端から連絡を取って提供してもらったのだろう、ということは理解できる。しかしそこまでして当人の写真を入手する必要があるだろうか。
私は万が一に備え、周囲の人間に「なにか事が起こった際には、速やかに現在の顔写真を提供するように」と言付けておいている。
「化粧もせず、あか抜けない中学時代の顔」を、いま万人の前にさらけ出す勇気は、私にはない。
思うに、中学時代の卒業アルバムの写真をのちに堂々と披露できる大人、特に女性は、この世のたった一握りの、もともと目鼻立ちの整った美人なのではないだろうか。
一方、中学時代の私は、姉の友人から「中日ドラゴンズの山本昌広(現・山本昌)投手に似ているね」と言われるような顔であった。
断っておくが、山本昌は格好いい。
しかし山本昌似の女子中学生は、通りすがりの男子高校生から「ブース!」と罵られて傷付くような日々を送っていた。
そんな私に一筋の光明が差し込んだきっかけが、大学に入ってから始めた化粧だった。
ノーズシャドウを入れれば、平坦だった眉間に彫りが生まれる。
アイラインを目尻に引けば、一重まぶたも「切れ長な目」になる。
当初は、これまで「ブス」と罵ってきた周囲を見返すような気持ちで化粧を続けていたが、「綺麗になること」は次第に自分への自信にもつながっていった。
化粧はいつしか、自分自身が「こうありたい自分」であるための武器になっていったのである。
前置きが長くなった。
スキージャンプ選手、高梨沙羅の話をしたいと思う。
高梨が全国的に注目されたのは2011年2月、オーストリア・ラムサウで行われたコンチネンタルカップで、FIS(国際スキー連盟)公認の大会で女子最年少優勝を果たしたあたりだっただろうか。
この時、高梨は14歳の中学2年生。純朴な丸顔と、あどけない笑顔が印象的だった。