2018.11.10
僕が「転職」を一度も後悔しなかった理由 ――働く場所の探し方
僕は芸能界を引退して、美容師になった。
ぼんやりと転職したくなる理由のひとつはネット情報
言ってしまえば転職したようなもの。
ですが、その認識はなかったんですよね。人生の中で一区切りついて、新しいことを始めた、という感じです。
「芸能界をやめたい」と思ったのではなく、「美容師のほうが自分の人生が楽しくなりそう」というポジティブな理由で、決断しました。
明確な、「美容師になる」という目的を持って。
じゃあ、「転職すべきかどうかわからない」と悩んでいる場合――本当に仕事を変えるべきかどうかはその理由の明確さ、ポジティブさを指標にして決めるといいと思います。
「なんかもっといい仕事がある気がする」というぼんやりした理由ならば、もう少し考えてみてほしい。
「なんとなく会社に不満があるから」というネガティブな理由なら、もう少し頑張ってみてほしい。
もちろん、過労死しそうなほど酷使されていたり、いじめられているような場合は別ですよ。でも、そうじゃないなら「もっと楽しい人生になる」「自分は後悔しない」とポジティブな確信が持てたときに、転職するのがベストじゃないでしょうか。
ぼんやりと転職したくなる原因のひとつは、おそらくインターネットです。
例えば「社畜がどうたら〜」って完全にネットの影響が動機でしょう。
ネットで見た情報のせいで、本当はそこまで不満に思わなくていいはずの現状に、モヤモヤしてしまっている人も多いんじゃないかな。
例えば、自分の会社のことしか知らなかったら「ちょっと大変なこともあるけど楽しい!」と思えていたはずの状況でも、SNSでもっと楽に、楽しそうに仕事をしている人を見てしまったせいで「あれ? こんなに楽に働けるんだ? ってことは俺って辛いのかな?」と感じてしまったり。
もちろんそれがプラスに働くこともあります。
労働環境を改善できたり、理不尽な状況から目が覚めたり。でも、必要以上に「もっといい仕事があるはず!」と思ってしまう人もたくさんいそう。自分より大変な人を見たらキリがないのと同様に、自分より楽な人を見てもキリがないのになぁ。
そのまま働いていれば、きっとこれから楽しくなるのに……という方もいる気がしますね。
新しい道への背中を押してくれたのは母の言葉だった
例えば、入社してすぐ「こんな仕事だとは思わなかった」と言ってやめちゃう方とか。
「どんな職場であれ大変なことはあるもの」
「SNSでは楽そうに見えるだけで実際には苦労しているかもしれない」――
そんなふうに、印象とは逆の視点を一度持ってみることもなく、転職を考えていませんか?
僕だって、美容師を「楽しい」「天職だ」と話していますけれど、大変なことももちろんあるんです。本当に楽しいことだらけで、楽々と働いている人がいたとしても、そこに至るまでにはとてつもない努力をしたかもしれませんよね。
人生のどこかしらで大変な時期は来るもの。
それを踏まえて「今の仕事はダメなのか。本当に大変で続けられないのか」を考えてみましょう。
それでも転職したい結論になるならば、新しい仕事に向けて動き始めましょう。
ここまでの話だと、スパーン!と美容師になると決めたように聞こえるかもしれませんが、「芸能界をやめ、美容師になる」という選択は、自分だけで導き出せたものではないんですよね。他の人よりはスパーン!と決断したとは思いますが、やっぱり大きな決断をする時は悩みます。頭ではやめたほうが楽しい人生になるとわかっていても、心がついていかないという状況に陥りました。
「今まで積み重ねてきたものを捨てるのが怖い」とは思いませんでしたが、「もうちょっと頑張ってもみてもいいんじゃないか」という気持ちが拭いきれなかったんですよ。まわりの方からもたくさん引き止めていただいたことも、僕を躊躇させた。
「そりゃまわりの人はやめないほうがいいって言うよ。でもそれは他人の人生として言ってるんやで。あんたの人生を一番考えてるのは、血のつながった母親である私一人や」
新しい道を選べるように背中を押してくれたのは、母親のこの言葉でした。
そこで「あ、それもそうやな」って。
「ま、いっか、じゃあやめるか」って気持ちが楽になって、決断できたんですよ。自分だけで決めきれないときは、他の誰かに話してみるといいと思います。親、友達、上司……誰に影響を受けるかは話してみないとわからないので信頼のおける人に相談してみてください。
自分の短所をなくすより長所を伸ばすことに力を使いたい
転職に関しては、一度も後悔したことはありません。
良い選択をしました。悩んで、自分が楽しそうだと思う方を選べたということもありますが、今まで自分がやってきたことを活かせる仕事を選んだこともよかったですね。
美容師は、芸能の仕事で身につけた話術や、自分の見せ方を活かせる職業ですから。
でもこれは、たまたまではなくある程度自分のこれまでを活かせる場所に行こうと思い、そのあとにやりたいことを探した結果。
僕は自分の短所をなくすことよりも、長所を伸ばすことに力を使いたい性分なんですよ。前の仕事で培った能力を使い、さらに伸ばせる場所はどこか、と考えた。
そこから、前回お話した「しゃべることが好きだから、人とたくさん話せる職業がいいな」という夢探しのスタート地点につながったんです。