2019.3.13
震災から学ぶ「ペットの防災」。人命優先でも「ペット同行避難」が大切な理由
「ペット同行避難」は復興の助けになる
人命最優先の災害時に、「ペット同行避難」が原則となっていることに疑問を持つ人もいるのではないでしょうか?ペット同行避難が定められた理由は、必ずしも動物愛護の観点だけではありません。
まずは飼い主の命を守るため!
「ペットは家族の一員」と考える飼い主が増え、ペットを助けるために危険を冒したり避難が遅れたりするケースがあったのです。災害後、復興へ向かうときもペットがいることが癒しや励みになり、心の復興の助けにもなるのです。
飼い主が災害時も責任を持ってペットの世話を続ければ、犬猫が地域で野生化して放浪したり繁殖したりすることもなく、地域の住民が危害を受けるリスクを減らせます。生態系や衛生状態に悪影響を及ぼしたりすることもありませんよね。
呼んでも来ない猫は在宅避難もあり
ペットの中でも猫は地震が起きるとパニックで隠れてしまい、呼んでも出て来ないことがあります。まずは飼い主自身が安全を確保してから探してくださいね。もしすぐに避難しなければいけない状況で見つからない場合は、ペットだけ在宅させて避難しましょう。
猫は素早いうえ隙間を上手に見つけられるので、家が倒壊したとしても生き残れる可能性が高いペットです。家族が帰宅できるまでペットが暮らせるようにフードや水を多めに置いておき、逃げないように自宅を戸締りして避難しましょう。
犬は猫よりも人の近くにいる可能性が高いため、首輪(ハーネス)とリードをつけて避難するのがベター。足をけがしないように靴や靴下を利用するのも一案ですが、履き慣れていないペットは違和感で歩けなくなることも…。逃げ遅れないように注意が必要です。
ペットと絶対に同行避難したい場合は、日頃から呼び寄せる練習が必須!また、クレート(持ち運べるハウス)を安全地帯にしておけばそのまま持って避難できるのでおすすめです。家を出る前に電気のブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めていくのを忘れずに!
避難生活はどこで?「同伴避難」の問題
「ペット同行避難が原則だから避難所で一緒に過ごせる」と思っている飼い主もいますが、そうとも限りません。ペットと安全な場所に避難するのが「ペット同行避難」で、避難所でペットと暮らすのは「ペット同伴避難」。この2つは違うものなのです。熊本地震の例では避難所の方針が運営者によって変わることがあり、ペットが入所できない避難所もありました。どこで避難生活を送るのかはよく考えておくべきでしょう。
(1)自宅
自宅が安全であれば住み慣れた場所で生活しましょう。特に環境の変化が苦手なペットは在宅避難のほうがストレスの低減になります。新耐震基準の住宅が多い地域では自宅で過ごせる可能性も高いはずです。
(2)避難所
地域の住民が集まり、救援物資が届く拠点にもなります。避難所によってペットの扱いが変わるため、飼い主と同じスペースで過ごせるとは限りません。もしにおいや鳴き声でトラブルになれば退所を迫られるケースもあります。
(3)テント
アウトドアのキャンプに使うテントがあれば、自宅の敷地や避難所のひらけたところで生活できます。自宅で過ごせなくてもプライバシーを保てるのが特徴です。
(4)友人宅
被害が少ない友人の自宅、あるいは被災地から離れた友人の自宅へ避難するのも一案。遠方の場合、移動手段の確認が必要です。
(5)車
車中泊の準備が整っていない車内で生活するのはおすすめできません。エコノミークラス症候群を発症したと思われる例が報告されています。
(6)ペットだけ一時預かり施設
いずれの場所で避難生活を送る場合も、家族のけがなどでどうしてもペットの世話ができない場合は、ペットだけ一時預かり施設に預けるのも一手です。