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地域猫と野良猫の違いを知っていますか? 捕獲や保護ではない「管理」という方法

地域猫活動は80%が評価。取り組みは全国規模へ

地域猫活動は地域の住民、ボランティア(団体)、行政が連携して行います。

いち早く取り組んだのは東京都千代田区で、2000年から活動をはじめ、2011年には全国で初めて猫の殺処分ゼロを実現。大阪市では地域猫活動を行なった結果、ふん尿をはじめとするトラブルが7〜8割も減りました。不幸な命も地域の問題も減らせることが全国で実証されているのです。

2011年に環境省が一般市民を対象に実施した「飼い主のいない猫に関するアンケート調査」では、地域猫活動に対して「評価する」という回答が約80%にのぼり、関心が高いことがわかります。全国に広まっているこの地域猫活動の具体的な内容について、「住宅密集地における犬猫の適正使用ガイドライン」をもとに大まかに紹介しましょう!

(1)地域住民の理解を得る
地域猫活動を始める前に地域の住民に活動の主旨を説明します。猫との共生を目指すためにも住民の合意を得ることはとても重要です。

(2)猫の不妊去勢手術を行う
殺処分頭数の多くを占める子猫の頭数を減らすため、捕獲して不妊去勢手術を行い、元の場所へ戻します。手術費用は行政から助成金が出る地域もあります。

(3)エサやりを管理する
エサやりをする場所と時間を決め、食べ終わったら容器を回収します。置きっ放しは悪臭などの原因になるので禁止します。

(4)トイレを設置してふん尿の被害を減らす
周囲に迷惑をかけない場所にトイレを設置します。排泄場所が決まれば地域のふん尿の被害を減らせます。

キャットフードが好きな犬の誤飲も防げる

地域猫活動は実は犬にもメリットがあるのです!

例えば猫のエサやりがルール化されていないと、公園や緑道などにエサが置かれます。そのような場所は犬の格好の散歩コース。そしてキャットフードはドッグフードよりもたんぱく質(肉や魚)を多く含むため、犬にとってはごちそうが置いてあるようなものなのです。

実は筆者が愛犬と散歩していたとき、茂みに置かれたキャットフードを食べてしまったことが!

これは善意で置かれたエサ?それとも悪意のある毒入りエサ?悩んだものの一見区別がつきません。やむを得ず動物病院に電話をして、中毒などの症状が出る時間を確認して経過観察。幸いにもけろりとしていましたが、となると猫の大切な食事を奪ってしまったことに…。犬猫のためにもルール化は大切だと思った出来事です。

外猫は820万頭。地域猫活動は共生への道

猫の頭数は年々増え、2018年には約1000万匹になり、初めて犬を逆転したことが話題になりましたよね。驚くのはまだまだ!この頭数に外で暮らす猫は含まれていないのです。総務省と一般社団法人ペットフード協会のデータをもとにすると、飼い主のいない猫は現在、約820万頭にのぼると推測されます。ただしその内訳は明らかではなく、地域猫や野良猫に加えて外に出た飼い猫や迷い猫が含まれている可能性もあります。

不幸にして亡くなる猫は減っていますが、外で暮らす猫はまだまだ相当数いることがわかります。私たちにとって猫は想像以上に身近な存在ですね。地域のトラブルを解決して共生していけるように、地域猫活動に興味を持っていただけたら幸いです。

ボランティアを始めたい人は、住まいの地域の保健所や動物管理センターに問い合せてみてくださいね。忙しい人は街を歩く猫を見守るだけでも十分。みんなで末長く共生していくため、まずは小さな行動から始めることが大切ではないでしょうか。

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金子志緒

かねこ・しお●ライター・編集者/レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作に携わる。主な取得資格は愛玩動物飼養管理士、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のジュウザに続いてサウザーを迎え、おもしろおかしく暮らしている。
ブログ:www.shimashimaoffice.work

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