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肉の神に感謝! 創業100年の精肉店が手がけるコスパ最高の黒毛和牛鉄板焼が誕生!

牛タンのコンフィは、タン筋部分を柔らかく仕込んだものを最後は鉄板で仕上げてくれる。
ホロホロの中に旨みが詰まった一皿だ。

そしてステーキ。
ヒレもサーロイン、どちらも選ぶことが出来ず、今回は5人でヒレとサーロインをシェア。
この日は飯村牛だった。

まずヒレからだが、食べる前からその香りに意識を持っていかれてしまう。
そして奥歯で噛み締めると柔らかいのは当然だが、実に繊細で肉の繊維が1本ずつほどけるような感覚が広がる。
ヒレとは思えないほど、しっかりと舌を包み込む旨味。

食べた全員が、あまりの美味しさに言葉を失ってしまった。

「千葉で和牛なんて」という肉バカのバカな思い込みが熱々の鉄板焼きとともに溶けていく
「千葉で和牛なんて」という肉バカのバカな思い込みが熱々の鉄板焼きとともに溶けていく

そしてサーロイン。
鉄板ならではの見事な火入れで、上質なサシに溶け込んだ旨味が、ステーキの中に閉じ込められていく。

噛んだ瞬間に溢れ出すのはベトベトの脂ではなく、肉本来の旨味だ。
サシの入った見た目と裏腹に、しっかりと赤身由来の骨太な旨味が押し寄せる。

「鉄板焼きは油っぽい」と言われることがあるが、よっぽど下手な焼き手であれば話は別として、だいたいは鉄板ではなく肉そのものが油っぽいのだ。
脂質が悪い和牛が多く流通し過ぎてしまった結果だ。

だからこそ、こういったサーロインの鉄板焼きを食べるとよく分かる。
鉄板はステーキを焼くのに優れている、という事実が。

融点の低い上質な脂の旨味が存分に味わえるのは鉄板焼きならでは
融点の低い上質な脂の旨味が存分に味わえるのは鉄板焼きならでは

牛肉の中のどの部分の脂を使うか、幾度となく試行錯誤したというガーリックライス。

たっぷりと牛脂を投入しているのを目の前で見て焦るが、食べるとベタつき感が一切ない。
どの部分の脂を使うかだけでなく、どんな牛の脂を使っているのかも大事なのだろう。
旨い和牛の脂はやはり旨い。

また、牛肉以外は地元千葉の食材を出来るだけ扱っている辺りに千葉愛を感じてしまう。

旨味と香りの余韻が凄まじい
旨味と香りの余韻が凄まじい

これだけ上質な和牛を揃えて、値段が恐ろしいほど良心的なのが信じられなかったが、そこには納得の理由があった。

大和屋はもともと創業100年の千葉の精肉店が手掛けていて、千葉県内の館山や木更津で焼肉店もやっているのだ。
1頭単位で上質な和牛を仕入れ、それを焼肉店などとうまく分け合うことで可能となる、この価格帯なのだ。

令和は、千葉で新しい和牛文化が始まる予感さえする。

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新刊紹介

小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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