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遂に完結!肉バカが1年間焼きまくって選んだ☆焼肉店13選【焼ニシュラン2018】その4

【爆発的なニンニクの存在感に夢中になる】☆[都内某店S]

情報化社会となった現代。
地方はまだしも、東京の名店は出尽くした印象があったが、やはり東京にもまだまだ未開の地があった。

頑なにメディアへの露出を拒否し、己の信じる道に邁進する焼肉店が存在したのだ。
とにかく衝撃的なのがタンとハラミ。

お世辞にも綺麗とは言えないような店内(ごめんなさい)に突如降臨する艶やかな生の黒タン。
それも「選びに選び抜いた」という言葉がぴったりの、甘みと香りが揃った最高のものだ。

生で食べれば滑らかな肉肌が舌の上を滑り、ほんのりと甘みを押し広げていく。
薄切りを焼いて食べれば、生をはるかに凌ぐ香りが膨らみ、サクサクとした食感に、脳を揺さぶる旨みが溢れる。

不揃いな部分はたっぷりのおろしニンニクをまとって串焼きにされる。
不揃いといっても、これほどの黒タンなわけで、強烈なニンニクのジャンクっぽさが加わっても上品な旨さがほのかに生きている。

ハラミもまた凄まじい。
分厚いハラミのど真ん中を贅沢にカットして、半端ないニンニクと胡麻油でコーティング。
焼き始めた瞬間から周囲にニンニクの香ばしい香りがたちこめるほど。
しかしきっちりと火入れしたハラミからは、鉄分と旨みが溢れ、肉々しさが前面に出てくる。

このハラミだけでも十分このお店を訪れる価値がある。
また、タンとハラミ以外の内臓もどれも素晴らしい。

ちなみにこのSの店主は虎の穴出身であり、「どうりで!」と頷いてしまう部分が多い。

【確かな素材と丁寧な仕事が生み出すハイクオリティな王道】☆[冨味屋]

細い路地裏に所狭しと焼肉屋が軒を連ねる浅草の「焼肉横丁」。

どのお店もこじんまりとしていて、お世辞にもオシャレな外観のお店は皆無。
店内では子供たちが宿題をしていたりテレビを観ていたりするお店もあり、昭和にタイムスリップしたかのような感覚を覚える。

そんな激戦区で圧倒的に評価の高いのが冨味屋。

肉は切り置きなど一切せず、注文が入ってから1枚1枚手切り、焼肉屋の命であるタレがまた旨い。
派手なパフォーマンスはないが、誠実な仕事ぶりに余計心が惹かれる。
ちなみに、ここはカルネヤの高山さんのご実家でもある。

【店主のセンスが随所に光る】☆[焼肉酒家 傳々]

これほど人によって好みや評価が分かれるお店は珍しい。
まさに賛否両論。

しかし、店主・高矢さんの真髄に一度でも触れれば、その凄みを知ることになる。
肉という素材を通して高矢さんのセンスが随所に光る。

決して最先端ではない。
むしろ最先端でないから良い。

中学生の頃にブラウン管を通して知った、どこか懐かしさを感じるゴージャス感。
これが恐ろしく心地良いのだ。
ゴージャスに芸術的な盛り付けがされたお皿の肉はどれもが驚愕の旨さ。
しっかりした肉質とホスピタリティで間違いのない焼肉に出会える。
特にタンとハラミは、都内屈指の仕入れ力ではないだろうか。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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