2019.1.4
肉バカが1年間焼きまくって選んだ究極の焼肉店〜【焼ニシュラン2018】その1
某タイヤ会社では追求しきれない和牛の世界。
その世界に人生を捧げ、日々美味しい和牛だけを追求し続けている肉バカは、2018年も和牛を食べまくり、1年間で食べた焼肉の回数は約190回、ステーキなどの和牛料理を加えると約250回という例年通りの水準に達した。
その集大成として、2018年に肉バカが実際に食べて感動した焼肉店だけを【焼ニシュラン2018】として紹介したい。
焼ニシュランは、肉バカの独断と偏見によって、忘れることの出来ない特筆すべき焼肉店だけをピックアップしている。よって、グルメサイト等の順位とは必ずしも一致しないが、これこそが肉バカが1年間ひたすら和牛を食べまくった結果なのだ。
(諸注意)
・2018年に食べた物だけで判断しているため、どんなに良いお店であっても2018年に食べていなければここには載せていない。(とはいえ、良いお店に1年もご無沙汰することはほぼないが)
・食べてはいても、たまたまハズレだった場合には載せていないし、逆もまた然り。
・最初に書いているが、これはあくまでも肉バカ個人の主観である。
☆☆☆【このお店の存在自体が奇跡だと思う】 [焼肉くにもと 本店/新館]
肉バカが焼肉の名店に求める全てがそろうのがここ、くにもと。
くにもとの焼肉には派手さは一切ない。
店主の国本さんはインスタ映えやグルメサイトのレビュアーウケなど何ひとつ気にしていない。来てくれるお客さんの「美味しい」という一言のために全身全霊で厨房に立っている。
そこにあるのは、王道を突き詰めた、ただただシンプルで旨い焼肉のみ。
牛肉の上にウニやキャビアを乗せただけの焼肉が好きな人には好まれないかもしれないが、焼肉を食べ込んだ肉好きであればあるほど、くにもとの凄さに驚き、そして通ってしまうだろう。
まず仕入れのこだわりが凄い。
老舗の吉澤畜産から仕入れる牛肉は、流行のブランド名を一切気にすることなく、味見を繰り返して「これぞ!」というものだけを選び抜いていく。その牛肉は、噛む程に牛肉本来のコクのある旨みを口中で放ち、芳醇な香りでも楽しませてくれる。
また、職人の個性が光るカットも見事だ。
部位ごとに丁寧に包丁を入れ、筋を取り除き、お客さんが口に入れた瞬間をイメージしながら厚さを決め、食べやすく隠し包丁を入れる。肉バカはこの仕事を見たうえで、焼き方、つまり食べるまでのアプローチを微調整するようにしている。
そして、なにより肉バカを魅了してやまないのが、くにもとのタレだ。
酸味と甘味が絶妙なバランスで成り立っていて、赤身の部位にも霜降りの部位にも見事にマッチする。
焼肉を突き詰めると最終的にはタレに行き着くのだ。
塩だけでいろいろな部位を食べ続けていると、その違いが分かりにくくなってくる。塩で食べるなら焼肉のような薄切りよりもステーキのような厚切りで食べた方が美味しいだろう。
技術のないお店のタレはインパクトが強いだけで肉の味を消し去るが、くにもとのタレは、肉の味をより際立たせてくれる。
個人的に日本一旨いと思う焼肉のタレはくにもとだ。
くにもとでは最初に盛り合わせをオーダーするルールがあり、上等(6,000円)、飛び切り(9,000円)、別格(12,000円)の中から選ぶが、上等で十分すぎるほど満足できるだろう。
肉バカは特別な会のときなどであれば飛び切りや別格をオーダーするが、普段はいつも上等で十分すぎる程満足している。
ちなみに本店と新館をご兄弟でやられていて、仕入れやタレのレシピは同じなのだが、食べてみると微妙に味が違うように感じてしまう。
職人さんによるカットの違いで肉の味の感じ方がここまで違ってくるのだ。
どちらも美味しいので、両店に通って自分の好みを見つけるのもまた楽しいだろう。
私はどちらも甲乙つけがたく、両店に通って違いを楽しんでいる。
☆☆☆【焼肉が日本料理と張り合えるジャンルになれるという可能性まで見せてくれる】[炭火焼 ゆうじ]
ここまでストイックに焼肉に向き合っている料理人が他にいるだろうか。そんな想いを抱かずにはいられない焼肉が、ゆうじにはある。
ゆうじの凄さを語る場合、素材の良さは言うまでもなく、なによりもその素材を料理する技術に尽きる。
手間隙を惜しまない丁寧な仕込み、素材のポテンシャルを最高潮にまで引き出す研究し尽くしたカット、そして他のお店と一線を画す見事な味付け。
ゆうじのホルモンは、素材そのものの鮮度を含めた質の高さはもちろん、丁寧な下処理のおかげで臭みなど一切感じられず、食感と瑞々しさが際立っている。
また、その味付けもバリエーションが豊富で、塩やタレだけでも数種類のパターンがあるのも魅力の一つだ。
例えば塩ホルモンであれば、普通当たり前のように使われている胡麻油やニンニクが入っておらず、味付けは塩のみ。食べれば食べる程に、その部位ごとに違うホルモン本来の旨みの虜になっていく。
塩しか振っていないにもかかわらず、全く臭みを感じさせないホルモン。如何に鮮度にこだわり、地味な下処理を丁寧にやり込んでいるかは明白だ。
これはホルモン焼きの原点回帰のようにも見えるが、実はこれが最先端なのかもしれない。
素材と正直に向かい合った料理人だけが提供できる、究極の塩ホルモン。
塩だけではなくタレも異常に美味しい。
甘味と辛味を絶妙に使い分け、行くたびに何種類もの味付けで楽しませてくれる。
脂の強いホルモンや正肉であっても、重たさを一切感じさせずに素材の旨みを引き出してくれるタレのクオリティの高さには驚かされる。
今までの焼肉屋の範疇を完全に超えた、ゆうじの料理は、焼肉というものが日本料理と張り合えるジャンルになれるという可能性まで見せてくれる。本物の料理人がホルモンや正肉を扱うとこういった料理が完成するという姿が、私をより焼肉の世界に深く引き込んでくれる。
素材を大事にし、胃袋と心に染み渡る料理は、食べる者の心と胃袋を同時に鷲掴みにするのだ。
さて、今回はここまで。
焼ニシュランの続きは次回へ。