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肉バカが1年間焼きまくって選んだ究極の焼肉店~【焼ニシュラン2018】その2

己の人生は和牛に捧げたと公言してはばからない肉バカが、2018年に食べた和牛の数は約250食。この数を「ほぼ例年通りの水準」と言ってのける男が、実際に感動した焼肉だけを紹介する名物コラム【焼ニシュラン】。例年は自身のブログでの公開となるこの垂涎もののコンテンツを、今年はよみタイのために捧げてくれた。大好評だった「その1」に続き、今回もまた、読まずには焼くことのできない必読の焼肉ウンチクがここに!

2018年を振り返ると実に素晴らしい1年だった。

和牛を食べ、食肉市場へ出向き、牧場を回り、そしてまた和牛を食べるという、とにかく自由になる時間とお金のすべてを和牛に捧げた1年。

と言っても2018年に限らず、毎年全てを和牛に捧げているので、いつもの年と変わらなかったとも言える。

そんな中、肉バカが2018年に食べた和牛の回数はざっと250回、うち焼肉は190回ほど。

その190回の中で肉バカが選び抜いた究極の焼肉店を紹介するのが【焼ニシュラン2018】。

全店舗を一度に載せるのは難しいので、前回は☆☆☆の2店を紹介したが、今回は他の☆☆☆店を紹介したい。

☆☆☆【可能なら☆を無限につけたいほどの奇跡の店】[YORONIKU 蕃]

恵比寿駅に降り立った瞬間から、肉バカを興奮させる焼肉屋がある。

2007年に南青山にオープンしたよろにくの2号店「YORONIKU 蕃」だ。

駅からお店まで歩く束の間5分の間、肉バカの頭の中は「今日はどんな焼肉、肉料理に出会うことが出来るんだろう!」ということで一杯となってしまう。

焼肉屋のメニューといえばカルビにロース、モミダレで揉み込まれた牛肉を煙モクモクの中で一気に七輪で焼いていた時代から、今の焼肉業界は飛躍的な進化を遂げた。

無煙ロースターが広まり、希少部位が脚光を浴び、今まで鉄板焼きや老舗のすき焼きでしかお目にかかれなかったような特選と呼ぶに相応しい和牛(長期肥育の雌牛やブランド牛)、さらに日本料理や洋食の技法を取り入れた肉料理の数々。

それらを全てを高次元で融合し、計算し尽くされたコース料理として初めて完成させたのが、よろにくだろう。

まさに時代の寵児と言っても過言ではない。

よろにくの肉は、東京食肉市場でも老舗の仲卸である日山畜産から、月齢30ヶ月以上の長期肥育を中心とした雌の黒毛和牛のみを仕入れるが、時には兵庫県の純但馬血統の神戸ビーフや近江牛などを仕入れるなど、素材への追求心がずば抜けている。

また、単に素材の質に頼るのではなく、厳選した素材のポテンシャルを最大限活かすよう、個体や部位にあわせてカットや味付けを微調整している。

アラカルトで食べたいものだけを選べば、雌牛特有の脂の滑らかさと赤身の深い味わいに驚く。

通常のコースを選ぶと、巷で散見されるような不必要なおまけが色々付いただけの名ばかりのコースではなく、前菜からデザート、そしてご飯のタイミングと量など焼肉を最大限味わうために計算し尽くされた流れと配分に五感のすべてが刺激される。

アラカルトで食べる焼肉から、食後の満足度を2ステップくらい上げてくれるのが、よろにくの通常コースだ。

さらにこの通常のコースを進化させたお任せコースは、肉割烹さながらの多彩な肉料理が織り交ぜられた至高のコースと言える。

最近では牛肉に他の素材をあわせたり、色々な料理法で食べさせてくれるお店が増えたが、その完成度には首をかしげるものも多く、よろにくと比較してしまうと何とも悲しくなるときがある。

よろにくだけが特別な理由……それは代表であるVANNEさんの並々ならぬこだわりに尽きる。
焼肉はもちろん、ジャンルを問わずいろいろな料理を食べ歩くことで様々な刺激を受け、その中から「これだ!」というものをよろにくのスタイルに落とし込む。
試作に試作を重ね、よろにくオリジナルと言えるクオリティになるまで徹底的に繰り返すのだ。

そこには一切の妥協はない。

この積み重ねがよろにくをここまで押し上げた。

☆が4つあるなら4つ付けたい焼肉屋がよろにくだ。

☆☆☆【店主から「もう来ないでくれ!」と言われるまで通い続けたい】[焼肉しみず]

2009年のオープンから年々、いや日々進化を続けてきた「焼肉しみず」

もうすぐ10年という時間の中で、遂にその進化はここまで来た。

初めて行った時は、そこそこ旨くてとにかく安いというくらいで、正直あまり印象に残らなかった。

しばらく間を置いてから行った2回目の訪問から、その印象ががらっと変わった。

何気なく出される肉が、どれも異常に美味しいのだ。
そこから頻繁に通うようになった。

ちなみに2018年に肉バカが通った回数は実に44回。
それほど肉バカにとって特別な焼肉屋と言える。

とにかく特筆すべきはその肉質。

牛肉の場合、内臓と正肉は流通ルートが異なり、セリが行われない内臓は業者との信頼関係のみで仕入れることが出来る。

なかでもその信頼関係の強さがわかるのは、日本中の焼肉屋で取り合いになるタンとハラミだ。
このタンとハラミの肉質と仕入れ量が、しみずはずば抜けている。

魚と違って配達されるのが一般的な牛肉にもかかわらず、毎日自ら業者に顔を出し取りに行く。
そういった信頼関係の構築の結果が、甘みと旨みのぎっしり詰まったタンと、フレッシュで肉汁の溢れるハラミを常備出来る今のしみずを作り上げたのだ。

正肉に関しても他の追随を許さない。

タンやハラミと違って、良い牛肉ほど仕入れ値がとにかく高い。
それを手頃な値段で出し続ける営業努力は意地以外の何物でもない。

肉質はどんどん上がり、今では田村牛を中心に川岸牧場の神戸ビーフまで、日によって楽しむことができる。
さらに肩のパーツだけだった仕入れもサーロインやモモ系など、部位のバリエーションが一気に増えた。

しみずの肉質を全身で堪能するのであれば、タンやハラミ、ロース(サーロインやリブロース)を厚切りで焼いてみて欲しい。

銀座のステーキ屋を凌ぐ最高のステーキを、それらの半分以下の価格で食べれるだろう。

ただし、焼き方には熟練の技術を要するが。

また、焼肉屋の命であるタレも、以前は醤油の味が強い印象だったが、まろやかに改良され、肉の味を引き立てるものへと変貌を遂げた。

焼肉屋でしみずと同等の肉を仕入れているお店は数えるほどしかないが、しみずと同等の価格で提供しているお店は1つもない。

素材だけでなく、タレといった焼肉には欠かせないアイテムも日々進化している。

店主の意地や痩せ我慢で成り立っているので、経営が成り立つのか少し心配になりつつ、肉バカが出来るのはひたすら通うことのみ。

店主から「もう来ないでくれ!」と言われるまで通い続けるつもりだ。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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