2024.10.21
モラハラに気づいたら?【逃げる技術!第25回】大事なのは意思・仲間・知恵…それと?
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情報のドブ河に溺れない
それから、これはつらいときには無理をしなくてもよいのですが、自分の状況にあてはまりそうなこと、パワハラ、いじめ、モラハラ、DVなどに関して、専門家の書いた本を読んでみてください。専門家というのは、例えば、弁護士、臨床心理士などの資格を持っていて臨床経験のある人や、大学で博士課程を終えて教えているような人を指します(もちろんそれらの人の意見が常に正しいとは限りませんが)。
なぜ本をおすすめするかというと、ネットにはいま、広告収入を稼ぐための、真贋のわからないツギハギの情報があふれているからです。人間関係やモラハラの悩みについてはニーズも多いため、そういった内容のブログを運営している人たちがたくさんいます(もちろん、SNSには真摯な言葉、当事者ならではの貴重な発信が隠れていることも事実です)。
わたしも家出前は、不安にかられて検索しては、そのような情報に接していました。ただ、ブログやSNSの情報はPVを稼ぐことを目的に書かれているために、細切れで体系立っていないことが多いのです。そのため、読んでも読んでも前進する感覚がなく、ただ時間ばかりが過ぎてしまうのでした。
モラハラやDVへの対応策を知るには、ネットより専門家の書籍がおすすめ。
のちのち、直接、専門家の先生や書籍から学んだり、人と話しあったりする中で言語化したりできるようになってくると、広告つき個人ウェブサイトには重複や誤解も多々あり、体験・噂・推測に基づくものが多く、弊害が否定できないと思いました。もちろん、善意でつくられたブログ、誠実なクチコミも多数ありますが、パッと見分けることは困難です。
ですから、本を手元に置いておくほうがよほどお守りになると思うのです。個人的には、日本で長くDVやモラハラの臨床を見てこられた信田さよ子先生や谷本恵美先生の本をおすすめします。
もちろん、1冊を通読する必要もありません。ハラスメントに遭っていると、メンタルも削られているので読書だって難事業です。ただ、手元に置いて気が向いたときにときどきパッと開いてみる。それだけで視界が開けてくることがあるものです。
これが「知恵をつける」です。
なお、本については、余裕がなければぜひ図書館を活用してみてください。自治体の男女平等センター(男女平等推進、男女共同参画推進など、名称はさまざま)といった施設には、図書コーナーを併設しているところもあり、DV、家族問題、子どもや女性の権利などに関する書籍が集まっています。
わたしたち大人の生き方が、次の世の中をつくる
これからを生きていく子どもたちや若い人たちには、そもそもハラスメントのなるべくない環境を用意してあげたい。そんなふうにわたしは思っています。
仕事や学校での不条理なこと、厳しすぎる上下関係、意味のない強制や禁止、そして痴漢や性加害などに対して「わたしが我慢すればいい」と沈黙してしまうと、そういった悪い環境を助長し、温存させてしまう。
だから「ノー」と態度や言葉で示すことは、大人の大切な仕事のひとつではないか、と最近わたしは考えるようになりました。
「我慢は美徳」では、悪い環境やハラスメントの原因を温存させてしまう。
「我慢は美徳」の時代は終わりました。
ひどい扱いに対しては怒りや拒否を示すことはワガママではなく、正しい反応。
ハラスメントをする人間の周りからはやがて人が去っていく。
そんなふうに若い人や子どもたちに見せる必要がある、と思っています。
さて、意思・仲間・知識のほかに、逃げるときにやはり重要だとわたしが思うものがあります。それは、お金と時間です。
次回、連載の最終回なのですが、お金の話と、わたしが夫のおかしさに気づいてから家出を決意して、逃げて、現在にいたるまでの出来事を時系列でまとめたいと思います。
当連載は毎月第1、第3月曜更新です。次回は11月4日(月)公開予定です。
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