よみタイ

庭の落ち葉集めと編み物熱

 ただ私の場合は、だいたいの場合、指定の編み針だとゲージが合わないのと、体型的に普通サイズだと袖丈が長くなるので、長袖を編む場合は計算をし直して、自分の体に合うように編んでいた。しかし英文スタイルだと、決められたゲージに限りなく合わせないと、自分の求めているサイズのものは作れない。着丈は好みのところで編むのをやめればいいけれど、袖は多くの場合、肩から袖口に向かって幅が狭くなっていて、一般的なセーターには、袖口にふさわしい幅がある。自分の袖丈に合わせ途中で編むのをやめてしまうと、どうしても袖口の幅が広くなるので、袖下からの目の減らし方を編む前に計算するしかない。私のように、ここを短くしたい、あるいは長くしたいという人にとって、サイズ調整がうまくできるのか不安だ。ボトムアップは袖も袖口から編んでいくので、このあたりで増し目を加減してなどと袖丈が調整できる。しかし肩から袖口に向かって編み下げるトップダウンだと、初心者が、編みながら自分の体に合ったものを作るのは、難しいのではないかと思う。どちらも一長一短なのだ。
 新しい方法を試してみるのは好きなのだけれど、文章だけでトップダウンとなると、二重に難しそうなので、編み図つきのトップダウンに再度挑戦しようと考えている。前のセーターは本に従って編んだので、その通りにしたらできあがり、偶然にも袖丈がぴったりだったので、どこも調整する必要がなかった。今度は好きな糸で自分で計算をして編んでみようと思っている。すると輪にしてトップダウンで編むには、パーセンテージの計算が必要だとわかった。ボトムアップの編み方はあとで端をとじたりはいだりつなげたりして、平面のパーツを体が入る立体にする考え方なので、肩幅、袖幅、袖丈と、襟まわりと袖ぐりとバストとヒップのそれぞれ二分の一のサイズが、編み図の基本になる。
 一方、トップダウンは、輪針でセーターを立体的に編むので、セーターの円周の中で、前身頃、後ろ身頃、袖など各部位を振り分けるパーセンテージが必要になってくる。製図はシンプルなのだが、自分で製図を起こすとなると、電卓を叩きまくらなければならず、わけがわからなくなってきた。前回編んだのは丸ヨークだったので、次は別のタイプを編んで、少しずつトップダウンのパターンに慣れていこうと思っていた。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『しあわせの輪 れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』『たりる生活』『老いとお金』『こんな感じで書いてます』『捨てたい人捨てたくない人』『老いてお茶を習う』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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