2022.3.30
庭の落ち葉集めと編み物熱
毛糸のパンツで勢いがつき、編み物熱は一気に元に戻った。なぜだかわからないが、集中力も一気に戻ってきた。昔、祖母が煮る豆をひと粒ひと粒丁寧により分けているのを見て、(彼女は残された時間が少ないのに、どうして時間をかけてやっているのだろうか)
と首を傾げたが、私もその域に達してきたのかもしれない。時間がある若いときは、面倒くさくて雑にやっていたことを、残り時間が少なくなっているのに、歳を重ねると丁寧にするようになるのは不思議である。
私が編み物を中断して、情報も遮断していた間、編み物の世界は進歩していた。やめる直前に編んだセーターは、襟ぐりから裾に向かって編み下げていく、トップダウンと呼ばれる編み方のセーターだった。裾から襟ぐりに向かって編み上げる、ボトムアップ方式でしか編んだことがなかったので本を買い、まずは掲載されていた指定糸で編んでみたのだった。トップダウンは、襟ぐりから編み下げるので、途中で毛糸が足りなくなったときに、着丈や袖丈を短くするのが簡単なのがいい。編み物をしていると、残り糸がたくさん出たり、編む予定がないのに糸を気に入って買ったりなどして、一着分はありそうだけど、ちょっと足りないかも、と微妙な感じになる場合がある。その際にこの編み方だと、毛糸の量の調整ができるので便利なのだ。トップダウン方式で他のセーターも編んでみようと考えているうちに、集中力がなくなってやめていたのだった。
もうひとつ変わったことは、英文スタイルの、文章による編み方が増えたことだ。私は小学生の頃から、丁寧な寸法が記載された製図と、日本特有の記号で表された模様編み図が掲載されている本を見て編んできたので、文章だけで説明される外国方式の編み方にはとまどっていた。外国雑誌で編みたいものがあると、編み目をじっと見て、こんな柄ではないかと、自分で模様編み図に書き起こして、それを見ながら編んでいた。
英文での編み方を丁寧に翻訳し、説明している本も出てきた。英語での編み方の略語、編み方も丁寧に記載されていて、洋書の編み物本で編むのがとても楽になる。私は両方の図を見れば、ひと目で全体像がわかる日本式のほうがずっと楽なのだが、模様編み図に書いてある記号をいちいち覚えるのが面倒くさいので、英文スタイルのほうがいいという人もいる。また図を見て編まなくてはならないので、手間もかかるという。私はそれを当たり前にやってきたので、そういうところはわからないのだが、ゲージさえ合えば、文章を読みながら編めるほうが、楽と感じる人がいるのもわかる。どちらの方法でも、自分が気に入ったものが編めればいいのだ。