2026.10.19
坂口健太郎 世間が抱く「坂口健太郎」像に気圧けおされそうになったことも正直あった【実録・メンズノンノモデル 第11回 前編】
今回のゲストは、俳優の坂口健太郎さん。オーディションで選ばれた2010年から7年間にわたって誌面で大活躍し、その時代の中心を担った “レジェンド”が満を持して登場。前編では、俳優としての現在の礎となった専属モデル時代の日々を語ってもらった。
取材・文/徳原 海 撮影/山田 陽
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遅刻してしまったオーディションがまさかの転機に
ここ10~15年の間で、「メンズノンノモデル」という存在を世の中に広く知らしめたのは、間違いなく、坂口健太郎である。国内は言わずもがな、韓国をはじめとするアジア各都市でも絶大な知名度をほこる人気俳優が、メンズノンノモデルオーディションに応募したのは19歳の頃。そこから専属モデルを卒業するまでの7年間の日々は、今も色鮮やかに彼の記憶に残っているという。
坂口健太郎(以下、坂口) 高校生の頃は部活(バレーボール部)一色でスポーツウェアしか着ていなかったくらいだったので、ファッションの世界は、自分にとっては場違いなところだろうというイメージしかなかったです。でも、「表現する」ことは子供の頃からなんとなく好きで、姉から「ケンやってみたら?」と言われるがままにオーディションに応募したものの、正直「絶対に無理だろう」という思いが大前提としてありました。
そんな経緯もあり、いつしかオーディションに応募したことすら忘れていたという坂口。そんなある日、1本の電話が彼の運命を大きく変えることになる。
坂口 知らない番号から着信が入って、出てみたら、メンズノンノのオーディション担当だった編集の方からでした。「○月○日の○時に集英社に面接に来てください」と。手違いで一次審査を通過した人に郵送される書類を受け取れずにいたみたいで、その電話で初めて審査を通過したことを知りました。それで、集英社の場所を調べて、電話で言われた時間に行ってみようと。当時の僕にとって、集英社といえば「週刊少年ジャンプ」(笑)。ジャンプ編集部が入っているビルの1階のロビーで「ほかにそれらしき人は誰もいないけど本当にここでいいのかな……」なんて思いながらずっと待っていたら、ビルの警備の方が声をかけてくださって。「メンズノンノのオーディションに来たんですけど」と伝えると、「メンズノンノはあっちのビルです」と。慌てて向かいましたが、僕が呼ばれた時間はとっくに過ぎてしまっていて……。それに、編集部からの書類を受け取れていなかったので、事前に記入して持参しなくてはならなかったアンケート用紙も持っておらず、その場で急いで書いてなんとかオーディションに参加させてもらったんです。そんなこんなだったので、絶対に落ちたと思いました。
16年前のそんなハプニングが、まさに彼にとっての人生のターニングポイントとなった。坂口自身も「あそこが今の僕のスタート」と話す。
坂口 あの日がなかったら、いまこうしてお芝居をさせていただいている自分はいなかったかもしれない。細い糸でギリギリ繋がったようなところからの始まりだったので、まるで昨日のことのように脳裏に焼き付いています。
「俳優・坂口健太郎」に対して、モデル時代から順風満帆な道を歩んできたイメージを抱いている人も多いかもしれないが、実は駆け出しの頃から人知れずさまざまな壁と対峙し、彼らしいしなやかさで乗り越えてきた。
坂口 モデル最初の仕事はドライフラワーを作る取材ページで、今でもよく覚えています。実はメンズノンノモデルになった当初は、ファッションページの撮影には全然呼ばれなくて……。僕はバレーボールをやっていたこともあってけっこうガタイがよく、当時はスキニーデニムとか細い服も多く服が似合いづらかったのだと思います。そこで、まずは服が似合う体型になるところからだなと思って、正しい減量方法もよく知らないまま毎日ただひたすら走っていたら、いざファッションページの撮影に呼んでもらった時、編集の方から「ちょっと痩せ過ぎじゃない!?」と心配されてしまって。でも僕としては「ああ、(ちゃんと痩せられていて)良かった!」って(笑)。当時は、モデルとしてどういう表現が求められるのかを考える以前に、まずは土俵に立たないと何も始まらないという気持ちが強かったのだと思います。

そこからめきめきと頭角を現していく。撮影現場で求められることに対して、真摯に向き合い、モデルとしての純度を高めていく姿勢にはめざましいものがあり、号を重ねるごとにファッションページへの出演が増えていった。気がつけば、前年に入った栁俊太郎、1年後輩の髙橋義明とともに、メンズノンノの「顔」と言える存在へと飛躍していった。
坂口 それほど強く意識していたわけではないですが、どこか自分を俯瞰していたところもあって、僕は「ファッション感度にはそこまで自信はないけどおしゃれを楽しみたい」というリアルな読者に向けたスタイルがフィットしていたように思います。栁はエッジの効いた服やブランドが誰よりも似合っていた。そしてよっちゃん(髙橋)はどこかアーティスティックな雰囲気の写真にすごく映えていて……。そんな、3者3様の色があったのが、すごくいいバランスだったのかなと今でも思っています。
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