2026.10.20
坂口健太郎 最新主演ドラマ『kiDnap GAME』で新たに挑む”怒り” 【実録・メンズノンノモデル 第11回 後編】
今回のゲストは、2010年の第25代メンズノンノモデルを経た後、現在は日本を代表する俳優のひとりとしてグローバルに活躍中の坂口健太郎さん。モデル時代の知られざるエピソードやメンズノンノへの強い思い入れを語ってくれた前編に続き、後編では最新の主演ドラマの話も交えながら「俳優・坂口健太郎」の現在地を探った。
取材・文/徳原 海 撮影/山田 陽
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相手の声に耳を傾けられるようになってきた
メンズノンノモデルを卒業したのが2017年。「役者一本」となって9年が経ち、近年では俳優として円熟みも増している坂口健太郎。そんな彼は今、どのような“役者観”をもって俳優という職業と向き合っているのだろうか。
坂口健太郎(以下、坂口) 自分が心から楽しいと思える環境で、いろいろな人たちと信頼関係を築きながら現場を作っていくことに何よりもやりがいを感じます。ありがたいことに、今は“芝居をする立場”としてそこに携わることができていますが、もし僕が全然違う立場、例えばカメラマンや照明技師だったとしても、現場に対する価値観はきっと同じだと思うんです。
調和と対話を重んじながら、ここぞという時には逞しいメンタリティとリーダーシップを発揮する。そのマインドセットこそ、彼の本質なのかもしれない。
坂口 30代半ばになって、(良い意味で)“何もしない”がどんどんできるようになってきました。20代の頃は、どこか役者である自分にメッキのようなものを貼ってしまっていた。要らないものまでたくさんリュックに入れて山登りをしている感じといいますか。それを「全部、一度捨ててしまおう」と思い切れた時、いろいろなことが軽やかになって、険しい山道もまるで平らな道のように思えるようになったんです。どれだけ役のことを突き詰めても、何度台本を読んだとしても、相手がいて初めて芝居になるし、カメラがあるからこそ記録として残る。そういう考えに行き着いてからは、自分の芝居がすごく自由になってきたように感じています。家で台本を読んでいる時はとことん役に入り込むんですが、現場に立つ前はそれを一回パッと捨ててみる。そんなふうに“裸一貫の自分”で現場に行くことが多くなったことで、台詞の中で自然に感極まる瞬間が増えてきた。それはきっと、芝居の相手の声に耳を傾けられるようになったからだと思います。自分が放つ言葉よりも相手の声を聞くことが役者にとっては何より大事なのだということが、ようやくわかってきたような感覚があります。
実は彼がその境地にいたることができたもうひとつの理由が、人一倍強い思い入れを抱いているメンズノンノモデルとしてのキャリアを、あるきっかけから100%肯定できたことだという。
坂口 モデルという職業に、「かっこいい服を着てただ立っていればいいんだろう」というイメージを持っている人もきっとまだ多いと思うんです。その考え方自体を否定するつもりはないのですが、僕としてはモデルと俳優両方をやり始めた頃から、そう思われることにすごく抵抗がありました。僕らなりにモデルの仕事にプライドを持ってやっていましたし、モデルにしかできない表現があるはずだと思っていましたから。でも、(メンズノンノモデル卒業後に)ある監督から「坂口くんはモデルをやっていたから、やっぱり絵がもつんだよね」と言われたことがありまして。台詞のない、海のシーンで、まだカメラが回っていない中、僕がスタンドインしているところをレンズで覗いた時にそう感じたそうです。「それってどういうことですか?」と聞くと、「役者だけをやってきた人は“何もしない”ことに慣れてないから、台詞や動きがないシーンではなかなかもたないんですよ」と。その言葉を聞いた時、「(自分がモデル時代に)やってきたことは、間違いじゃなかったんだ」と思えてすごく嬉しかったんです。そして、その気持ちを自分の中で大事にしてこうって決めたんです。

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