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米倉強太 阿部寛、坂本龍一…映像への思いを強くしたレジェンドとの出会い【実録・メンズノンノモデル 第2回 後編】

1986年5月9日に、女性ファッション誌『non-no』の男性版として創刊した『MEN’S NON-NO』。阿部寛さんなど俳優やアーティストを数多く輩出してきた同誌の創刊40年を記念して、本連載では、かつて専属モデルとして誌面に登場し、その後、様々なフィールドへと羽ばたいていった「メンズノンノモデル」たちの“現在”の姿と声をお届けしていく。常識にとらわれず、大きな変化をも恐れない彼らのしなやかな生き方から、先を見通しづらい現代を”自分らしく”生き抜くヒントを受け取ってほしい。

第2回は、2025年に阿部寛さん主演の映画『キャンドルスティック』で長編映画監督デビューを果たした米倉強太さん。現在31歳。新進気鋭の映像作家として注目を集める彼にとって、メンズノンノはまさに表現者としてのスタート地点。モデルから映像クリエイターへ。意外な転身の裏にあった知られざるストーリーに迫る。後編は、モデル卒業後から映画界で奮闘する近況まで。前編はこちら

取材・文/徳原 海  撮影/延命悠大

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映像クリエイターとしての礎を築いたパリでの武者修行

 2015年には多摩美術大学を中退。制作会社を立ち上げ、本格的に映像作家としての道を歩み始めた米倉。マイペースに見えてその実、これだと決めた方向には迷わず突き進む。天真爛漫さや人懐っこさの裏にあるその芯の強さを、筆者も当時エディターとして彼と一緒に仕事をする中で密かに感じてはいたが、この思い切った舵の切り方には驚いた。少し前には「未来が見えない」と考えていた若者が、たった3年で見違えるように成長した。メンズノンノモデルも同年末で卒業した。

米倉強太(以下、米倉) 最初は、出版社の動画制作の仕事が多かったですね。当時は、映像について出版社ではまだ手探りのところがありましたし、こっちもすべてがトライアルでしたが、その分、出した企画が比較的通りやすいという面もありました。一方、パリコレクションでのJULIUSのバックステージ撮影も続けていて、他のブランドからも声をかけていただいて撮るようになっていました。パリファッションウィーク中は、撮って、裏ですぐ編集して、その日の夜にはアップするといった具合にもう100本ノックのような感じでしたけれど、やはりいちばん鍛えられたのはパリ。いろいろな技術やアイデアを身につけることができましたね。2018年には、エイジレス アインツェルガーというNYのブランドとも出会い、坂本龍一さんの楽曲とともにブランドのイメージムービーを作ったのですが、後に、坂本さん本人のご厚意で未発表の音源を使わせていただき、現地でエキジビションも開催したことで、アートワークとしての映像制作の楽しさも知りました。

身ぶり手ぶりを交えながらモデル時代のエピソードや映像作家としての思いを熱心に語ってくれた。何事にも真摯に向き合う姿勢は、「メンズノンノで仕事とは何かを学んだ」ことに起因しているのかもしれない
身ぶり手ぶりを交えながらモデル時代のエピソードや映像作家としての思いを熱心に語ってくれた。何事にも真摯に向き合う姿勢は、「メンズノンノで仕事とは何かを学んだ」ことに起因しているのかもしれない

 ファッションやアートの中心地であるパリでの活躍によって、その存在は日本でも大きく注目を集め、その後は多くのメディアやブランドから声がかかるようになる。グッチやヒューゴボスといった誰もが知るブランドのイメージムービーを手がけるなど、映像作家として順風満帆なキャリアを歩んでいるように見えた。しかし、仕事が増え、忙しくなればなるほど、彼の心の中にはある種の葛藤がどんどん膨らんでいったという。

米倉 広告ビジネスとしての映像制作に軸足を置くようになったのは、もちろん自分の意志でした。当時は、お金をいただかないで作品を作ることに意味を見出せなかったですし、そもそも映像を作り始めたのも『仕事がしたい』という思いが根っこにあったので…。ただ、日々撮影や編集、締め切りに追われる中で『このままでいいのか』という思いも常にあったんです。そんなときにお話をいただいたのが、映画『キャンドルスティック』の監督の仕事でした。

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徳原海

大阪府出身。メンズノンノ編集部でのアルバイト勤務を経て2006年からフリーランスの編集者として活動。メンズノンノ、UOMOなどの雑誌をはじめ、現在は様々なファッションブランドやスポーツブランドの広告ビジュアル制作なども手がける。著書に「パラアスリート谷真海 切り拓くチカラ」(集英社)、写真と文で綴った欧州フットボール紀行「the Other Side」(ブートレグ出版)など。

Instagram :@kai.tokuhara

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