2020.6.8
なぜMBは「ユニクロ」を着こなしの題材にし続けるのか?
ちなみに「ここ数年でユニクロの品質が落ちた、すぐダメになる」というのがネットニュース界隈で少し話題になりましたが、これはユニクロさん、おそらくとても歯痒い想いをしているんじゃないかな。
ここ最近ユニクロ製品の品質が落ちている!?
日本は「高級品=耐久性が高い」という誤解がまかり通ってますが、実際は全く逆です。
高級品は贅沢品であり、基本的に脆いものです。
高価なスラックスより安価なチノパンの方が丈夫です。
高価なカシミヤニットより安価なアクリルニットの方が丈夫です。
高価なスーピマTシャツよりも安価な天竺Tシャツの方が丈夫です。
高級スーツは頻繁にクリーニングに出さねばすぐにテカりが出てしまいますが、安価な化学繊維のスーツは家で洗っても毛羽一つ生まれません。
高級素材は基本的に脆いものなのです。
だからこそ「高級品」なのです。
高級スーツは丁寧にケアしないとダメになる、だからお金持ちしか着ないんですよ。
高いお金出して長持ちするなら誰でもそっち買うでしょう?
リネンもウールもスーピマも繊維が華奢だからこそ美しい風合いが出せるのであって、だからこそ脆いのです。
ユニクロ製品の耐久性が近年落ちているのは間違いなく事実です。
しかしながらそれは「ユニクロが品質を落としてるから」ではなくむしろ逆で、「高級志向になったからこそ耐久性が落ちている」のです。
多くの人はカシミア100%のニットを手にしたことがありません。
模造品でもない限り、カシミア100%のニットは2万円を切ることがほとんどないからです。
多くの人はスーピマTシャツを手にしたことがありません。ほとんどが1万円以上するからです。
だから「近年耐久性が落ちてる」と言われているのですね。
ユニクロからすると実に歯痒いはずですが‥‥そうは言っても多くの人に向けたブランドだからこそ「高級素材だけど耐久性も高い」となるように、素材開発を続ける努力をするべきなのでしょう。
ある意味「耐久性が悪い」という批判は、ユニクロをもう1段ステップアップさせるための必要な試練なのかもしれません。
誰でもどこでも手に入る再現性の高さ
少し話が横道に逸れてますが‥‥
私、MBがユニクロを扱うもう1つの理由は再現性の高さにあります。
ユニクロは全国800店舗以上あります。
日本全国誰でも手に取れるという意味において、これ以上適した環境はありません。
せっかくおしゃれになる方法や着こなしを教えても「該当するアイテムが手に入らない」では皆興味をなくしてしまうでしょう。だからこそ再現性の高さには気を配る必要があります。
もちろん「ユニクロが全て」ではありませんが、
「とりあえずコレでこのコーディネートは作れるよ」
と分かりやすく説明するために、「すぐに誰でも手に取れるモノを使う」のは大事なことです。
「なるほど、ユニクロは全国どこでも手に取れるから……。ん? でも“しまむら”じゃダメなの?」
と思うかもしれません。
実はしまむらの店舗数はユニクロ以上、1400店舗もあります。
ではなぜしまむらは題材としてそこまで使わないのか?
それは単純にデザインが強すぎて着こなしのサンプルとして使いにくい、という理由もありますが……実はしまむらは自社製造の商品ではなく買取ビジネスなのですね。
他社が作った商品(OEM会社)を買い取って並べているビジネスモデルなんです。
だからこそユニクロほど一つの型を大量に用意することをしません。
小型大量生産のユニクロに対して、しまむらは多型少量生産なのです。
だからこそしまむらは店舗ごとで展開アイテムも異なるし、「全国一律どこでも同じように手に入る」という状況ではないのです。(もっともこれがしまむらの魅力であり、だからこそ「しまパト(しまむらをめぐって良品を探すこと)」という文化が生まれたわけですが。)
またオンラインストアも用意されていないので、誰でもどこでも買える状況にあるという点ではやはりユニクロに圧倒的に分があるのですね。