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不良夫婦
あなたは「結婚」という制度に、疑問を感じたことはないだろうか。

連日メディアを騒がせる不倫ゴシップなど氷山の一角。女性の社会進出、SNSや出会い系アプリの普及……出会いの機会が爆発的に増える一方、多くの夫婦が良好な関係の維持に苦戦しているのもまた事実。セックスレス、不妊、モラハラ、DV......問題は山積みで、それが令和時代の夫婦を取り巻く現実だ。

これは120年以上も変わらない今の結婚制度に限界を感じ始めたと夫と妻が、それぞれの視点で語るストーリー。

夫・康介が不妊治療の提案を聞き流したことで、夫婦の歪みが顕在化したふたり。康介への関心を失った妻・麻美の前には元カレが現れる一方、康介自身は昔のクライアントだった女性からランチに誘われ……。

前話はこちら。連載一覧はこちら

(隔週土曜で更新予定です)

「なぜ露出する服で…?」ー無関心だった夫が、夜遊び帰りの妻に感じた危機感(第4話 夫:康介)

奔放でものおじしない女の魅力

「最近はどんな記事を書いてるんですか?」

仲通り沿いのイタリアンで、小坂瑠璃子と向き合う。5年前と何ひとつ変わらない……いや、さらに成熟した魅力を纏う彼女の姿に康介の心は浮き立った。

瑠璃子はTwitterで9万フォロワーを抱えるフリーライターである。Twitterを触ったこともない康介にとって瑠璃子は「未知の世界の人」という感じだ。

彼女は32歳で、妻の麻美と同い年。二人とも小柄で華奢で美人という共通点はあるが、瑠璃子のほうが麻美よりすべてのパーツが大きい。そして何より生き方もキャラクターもまるで違う。

まず、瑠璃子は康介に遠慮なくものを言う。

「今は、マッチングアプリのリアルを取材してます。面白いですよ。櫻井さん、アプリの経験あります?」

「あるわけないじゃないですか(笑)」

突拍子のない質問に思わず吹き出した。相変わらず面白い女だ。康介が呆れ顔を見せてもお構いなしで、彼女は『ペアーズ』と『ティンダー』というアプリの利用者層の違いについて意気揚々と語り始めてしまった。

昔から瑠璃子と話すのは楽しかった。おそらく天性のものなんだろう、警戒心の人一倍強い康介にも初対面からするりと懐に入ってきた。そして本当によく喋る。

5年前も、有名私大を休学してまでピースボートで世界一周したとか、卒業後も就職はせず、知人のツテで通訳の仕事をしながらTwitterにいそししんでいたとか……そんな話を聞かされるたび、驚いたり感心したり忙しかった。

康介自身は神戸の私立高校から早稲田の政経学部に進学、在学中に司法試験合格、と典型的なエリートコースを生きてきた男だ。

しかし瑠璃子に会うと、自分までしがらみから解き放たれるような、新たな扉を開くような、開放的な気持ちになれた。

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安本由佳

やすもと・ゆか●81年 奈良県生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、化粧品会社広報、損害保険会社IT部門勤務を経てフリーランスへ。
2016年〜2020年1月 東京カレンダーWEBにて『二子玉川の妻たちは』『私、港区女子になれない』など多数の連載を執筆したのち、2020年10月講談社文庫より初書籍『不機嫌な婚活』を出版。よみタイで好評連載中の漫画『恋と友情のあいだで』(廉Ver.)の共著原作者。『不良夫婦』では(夫side)を執筆。

オフィシャルサイト●安本由佳
Instagram●yuka_yasumoto
Twitter●安本由佳|WEB作家@軽井沢

山本理沙

やまもと・りさ●84年 東京都生まれ。日本女子大学文学部卒卒業後、外資系航空会社客室乗務員、金融機関・コンサルティングファームの秘書業務を経てフリーランスへ。
2015年〜2019年に東京カレンダーWEBにて『東京婚活事情』『結婚願望のない男』『東京ホテル・ストーリー』など多数執筆したのち、2020年10月講談社文庫より初書籍『不機嫌な婚活』を出版。よみタイで好評連載中の漫画『恋と友情のあいだで』(里奈Ver.)共著原作者。『不良夫婦』では(妻side)を執筆。

Instagram●Lisa_fluffy
Twitter●山本理沙/WEB作家




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