2026.1.4
解放感たっぷり! だけど気軽に気を抜いては楽しめない!? 日本最奥の秘湯「北アルプス高天原温泉」【山の名&珍プレイス 第2回後編】
記事が続きます
「弱い硫化水素臭と弱い渋みを有す」名湯
こんな高天原温泉は富山県知事による許可を得た温泉として「源泉分析書」が発行され、高天原山荘内にもしっかり掲示されている。昭和62年(1987年)と古いものだが、そこには「弱い硫化水素臭と弱い渋みを有す」と書かれ、湧出量は毎分69リットル、Ph6.2、湯温57.8~62.5℃などと記載されていて興味深い。
実際、人が少なくて湯船のお湯が撹拌されていない時間帯に入りに行くと、風呂の上部の湯温が熱すぎてビックリすることがある。そんなときは常備されている懐かしの黄色い「ケロリン」の洗面器でかき混ぜて入るのだが、それでも熱いときは沢水を引いてきているホースから湯船内で冷水を浴びながら温泉を楽しむのも悪くない。まさに野趣あふれる温泉である。また、泉質はわりとサラっとしていて湯上りはさっぱりしているが、高天原山荘まで歩いているうちに再び汗をかいてしまい、体がきれいになったのかよくわからなくなる……というのが、高天原温泉のいわゆる「あるある」なのであった。

なお、徒歩20分ほどで行き止まりになるが、高天原温泉からはさらに奥の「夢ノ平」まで登山道が延びている。疲れ果てて夢ノ平まで行く人は少ないが、登山道がつけられている場所としてここほど山深い地点はそうそうない。クマやカモシカがいつ出てきてもおかしくはない秘境そのものの雰囲気は、ここが日本だとは思えないほどだ! 余力がある方は、ぜひ足を延ばしていただきたい。

帰りは別ルートでも。結局、どこに向かっても長時間・長距離なのだが
そこへ到達するまでがハードな高天原温泉は、当然ながら帰りも大変だ。新穂高温泉以外に使用しやすい登山口には富山県側の折立があり、最後にそちら側のルートも簡単にご紹介したい。

「YAMAP」のデータによれば、折立からの最短ルートである「折立~薬師沢出合~大東新道~高天原温泉」のルートは、歩行タイム10時間33分、距離16.3km、登り1666m、下り973m。往復となると、歩行タイム20時間51分、距離32.6km、登り2639m、下り2639mとなる。数値だけを見れば、新穂高温泉からよりも容易に思えるが、じつはこちらのほうが難路の区間が長く、とくに黒部川沿いの大東新道は歩きにくいうえに道迷いしやすく、増水時はルートが水没して寸断されかねない。だから、新穂高温泉からよりも体力的、技術的に数段難しく、よほどの経験者以外にはお勧めできないのである。また、折立へのバスの便は新穂高温泉に比べて少なく、マイカーやレンタカーの利用が現実的。そもそも折立自体が相当な山奥であり、そこまで山道を自分で運転する気力や体力も併せて必要なのだった。


ほかにも日本の「歩いてしか行けない」温泉としては、八ヶ岳の本沢温泉や九重山の法華院温泉、那須岳の三斗小屋温泉、安達太良山のくろがね小屋温泉などがあげられる。しかし、山深さで他の山域を凌駕するのはやはりこの高天原温泉を含む北アルプス。そのなかで高天原温泉に対抗できる温泉があるとすれば、剱岳山域の仙人谷温泉や阿曾原温泉のみだろうか。機会があれば、いずれそれらもご紹介したい。

記事が続きます
次回、連載第3回は2/1(日)公開予定です
![[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント](https://yomitai.jp/wp-content/themes/yomitai/common/images/content-social-title.png?v2)
















