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“自分の足”だけで往復46.7㎞、標高差3803m、歩行26時間54分! これぞ日本の秘湯中の秘湯「北アルプス高天原温泉」【山の名&珍プレイス 第2回前編】

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好みの場所の山小屋を拠点に、日本最奥の秘湯を目指す

 ともあれ、僕がもっともお勧めしたいのは、高天原温泉を管理している最寄りの高天原山荘に1泊する方法だ。ここに宿泊すれば、朝に夕に何度でも秘湯を楽しめる。だが、計画が1泊分多くなるかもしれない。そこで、高天原温泉に比較的近い三俣山荘か雲ノ平山荘に連泊し、高天原温泉に1日で往復してくる方法も検討したい。これほど山深い場所だというのに僕はこのところ2年に1回以上のペースで高天原温泉へ行っているが、多くの場合はこの2つの山荘から、身軽な格好で往復している。

雲ノ平から往復する場合、高天原温泉との標高差はほぼ500m。途中には長大なハシゴを使って上り下りする難路も控える
雲ノ平から往復する場合、高天原温泉との標高差はほぼ500m。途中には長大なハシゴを使って上り下りする難路も控える
「ここにクマがいなければ、どこにいる?」というほどの山奥。一部は木道が敷かれているが、ヤブが深い区間もある
「ここにクマがいなければ、どこにいる?」というほどの山奥。一部は木道が敷かれているが、ヤブが深い区間もある

 ちなみに、その雲ノ平は、黒部川によってぐるりと半周するように取り囲まれている、起伏ゆるやかな古い溶岩台地。山上の別天地、桃源郷などといわれ、「死ぬ前に一度は行きたい」という人が珍しくない、多くの山好きが憧れる場所だ。しかし高天原はそこからさらに一段下の盆地状の平坦な場所で、秘境といわれる雲ノ平からさらに1日かけて往復しなければならない。高天原温泉は北アルプス最奥どころか、日本最奥の温泉と称されるのも理解していただけるはずだ。

雲ノ平から2時間30分ほどで高天原。盆地のような地形に湿地と草原が広がる美しい場所だ
雲ノ平から2時間30分ほどで高天原。盆地のような地形に湿地と草原が広がる美しい場所だ
“ランプの宿”として知られる高天原山荘
“ランプの宿”として知られる高天原山荘
高天原山荘のなかに掲示されていた温泉の案内。かわいいイラストに小屋のスタッフの愛が感じられる
高天原山荘のなかに掲示されていた温泉の案内。かわいいイラストに小屋のスタッフの愛が感じられる
山荘の前には料金箱があり、わざわざ小屋で受け付けをする必要はない。2025年の時点では300円であった(高天原山荘宿泊者は無料)
山荘の前には料金箱があり、わざわざ小屋で受け付けをする必要はない。2025年の時点では300円であった(高天原山荘宿泊者は無料)

だが……。じつは高天原山荘に到着しても、すぐに温泉へ入れるわけではない。高天原温泉は小屋の北に離れた露天風呂で、小屋から往復40分程度。ここまで歩いてきても、まだまだ簡単にはたどり着けないのであった。いやはや、本当に遠過ぎる!

小屋から歩き続け、やっと見えてきた高天原温泉。左のほうに小さな小屋のようなものが2つあるのがわかるだろうか?
小屋から歩き続け、やっと見えてきた高天原温泉。左のほうに小さな小屋のようなものが2つあるのがわかるだろうか?
小屋掛けされたなかには、2m四方ほどの露天風呂。石を重ねて固定した湯船のなかに白濁したお湯があふれている
小屋掛けされたなかには、2m四方ほどの露天風呂。石を重ねて固定した湯船のなかに白濁したお湯があふれている
小屋掛けされた露天風呂の対岸には、脱衣場や目隠しすらない完全なる露天風呂も!
小屋掛けされた露天風呂の対岸には、脱衣場や目隠しすらない完全なる露天風呂も!

 しかし、ここで最後のひと頑張り。ここまで歩き切った自分を褒めたたえつつ、下山後に自慢話をすることまで夢想しながら先へ進もう。そして、そのときの風向きにもよるが、ほんのりと硫黄臭がして沢の音が聞こえてくれば、高天原温泉がとうとう見えてくる!さて、実際の入り心地はいったいどんなものなのだろう?

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後編(1月4日12時30分公開)に続きます

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高橋庄太郎

たかはし・しょうたろう
山岳/アウトドアライター。1970年宮城県仙台市生まれ。高校の山岳部で山歩きを始め、出版社勤務後の2年間の無職時代には国内外のアウトドア旅へ。その後フリーランスのライターとなり、ウェブメディアや雑誌を中心に執筆活動を続けている。近年はイベントやテレビへの出演も多く、アウトドアギアのプロデュースも手掛けている。著書に『テント泊登山の基本テクニック』(山と渓谷社)、『トレッキング実践学』(ADDIX)、共著に『“無人地帯”の遊び方』(グラフィック社)など多数。

Instagram: @shotarotakahashi
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