2023.2.8
文化人が集うゴールデン街「マチュカバー」のママにインタビューしたら、とんでもない人生の話が聞けた
「山下くん、甘いの食べれる?」
山 : なるほど。僕はあまり若い人向けに何かしようって気持ちが湧かないんですけど、麻知子さんはどうしてそういう気持ちが湧いてくるんでしょう。
麻 : わかんない。でもこれって、若いときからあるなぁ。
山 : 学生時代からとか?
麻 : うーん、なんか、癖みたいなもんで。感情移入しすぎる癖みたいなのがあるからかな、私が。ゴキブリがスプレーされて苦しんで死んでくの見て息できなくなるような子供だったからかなぁ。わからない (笑)
山 : (笑) 今でもそうですか?
麻 : だいぶマシになってきたと言うかそうならない様に何かを閉ざしてるか、鈍くなっただけかも。
山 : 今ゴキブリが出たらどうするんですか?
麻 : 今出たら、とりあえずそのゴキブリに注意を呼びかける最初。
山 : どういう注意をするんですか (笑)
麻 :「おいっ!もう次、私の目の前に出てきたら、やるからね!」って (笑) 「自分で出て行ってくれへん? そこに隙間あるから」って。
山 : (笑) 3回目出てきたら、やっちゃうんですか。
麻 : まぁまぁ、ティッシュでくるんで外にパッってやってる (笑)
麻・山 : ふふふふふふ。
麻 : そこが弱点やね、私の。
山 : 感情移入しすぎるところが。
麻 : そうそうそう。弱点。
山 : 感情移入しすぎるところ、どういう時に弱点だなーって思います?
麻 : いちいちしんどい。一番は子どもと動物が辛い思いをしてるのが辛い。それが弱点。勝手に想像してるだけなんだけどね。私の身近でそんな子供とか動物がいたら出来る限りの事はするけど、それも限りはあるし、どこかで何かは諦めないといけないし。ただ、自分の周りや近所で虐待死とかさせたくないから普段の生活の中でも目を光らして耳を澄まして。見て見ぬふりだけはしたくないから。自分のために。
山 : なるほど。
麻 :20代前半の時、そういう感覚に押し潰されかけた時があって、でも生きていかないといけなくて『あれ?どうしよう……』って思ってた時はだいぶ弱ってたんだと思うんだけど。でもその頃にいろいろ自然から教わった感覚みたいなのがあって立ち直れたんだけど。
山 : どんなふうに立ち直れたんですか?
麻 : えーっと、なんていうのかな。私が元気で生きていても意味がないとその頃は思ってたんだけど。そのあと、簡単に言えば、地球がもし一人の人間だったとしたら、火とか水とか植物とか私とかみんな一つひとつの細胞で、その小っちゃい小っちゃい細胞がなるべくなら腐ってるより元気であった方が良くて、私が元気でいる事は、ひょっとしたら意味のあることかもしれないと。いわゆる「ガイア理論」的な事を感覚で感じさせられる事象が20代にいっぱいあって。
山 :例えばどういうことでしょう。
麻 : 話できるかな。えーっと、その20代前半は精神的にかなり不安定で心と内臓と身体のバランスが良くなくて。もともと感覚で私は生きてたから、生き物としての本能が生きろって言ってくれてたとしか言いようがない。この本能という単語もいろんな方向性で変わってくるから間違って使ってしまってるかもだけど。ちょっと変な話になるけど私、子供のときからずっと夜見る夢に育ててもらってたようなところがありまして。別の言い方をすると、昔から夢から学ぶことがいっぱいあってですね。ごめんなさい。変な人間で(笑)
山 : いえいえ
麻 : 夢って無意識?やと思う。で、生き物としての本能?が夢にも出てきやすいと思う。あ! 山下くん、甘いの食べれる?
山 : あ、いいんですか。
麻 : うん、これ美味しいねん。ここのやつ。食べれる?
山 : はい、好きですね、そういうの。
麻 : はいどうぞ。
山 : ありがとうございます。