2020.2.19
ママ友を失った理由は、300円の手作りアクセサリー
足し算と引き算をわかっているのか
ご存じだろうか。
2020年1月現在の東京都の最低賃金は、時給額1,013円である。
10時間働けば、10,130円である。
小学生低学年でも計算できる。
彼女は、300円の髪飾りが仮に50個売れれば、15,000円になるから、家庭へお金をもたらすと思っているのだろう。
これは彼女に伝えなければならない。
趣味どまりであるなら、他人が何かを言う筋合いはない。空気が読めない私だって、その髪飾りは買わないが、思っていることも何も言わない。採算度外視もありだろう、「趣味」だから。
私も一応、子供がいる母親である。
同じ子供を育てる身として、この行為だと効率が悪すぎることを伝えないといけない。
私は勇気をふり絞り、切り出した。
私「ねえ。どこかで時給をいただけるパートしたほうが実入りよくない?」
彼女「え?」
私「ほら、子供の習い事の足しにしたいわけでしょ? こういうイベントって、天気とかで客足が左右されるから、フタを開けてみたいとわからないじゃない。自分の労働時間を提供して、確実にお給料をいただけるパートの方が、安定するよね。資金計画だって立てやすいじゃない。一日何時間働けば、これだけお給料もらえるって明確だから」
彼女「でも、私、子供が小さいときは一緒にいてあげたいんだよね。あと、この『仕事』でもお金増えるじゃない?」
待て。
仕事は、お金だけで計れるものではないのは、わかる。わかるけれど……これを仕事と呼ぶのか。
私は体のなかの黒いものが口から出ないように抑えていたが、彼女も頬を赤らめて鼻息が荒くなってきた。
そう、私は彼女の地雷を半分踏んでいる。いや全部か。
「好きなことでお金をいただける最高の仕事。そしてこれが、子供のためにもなる」
なぜ30歳すぎた女が、簡単な足し算引き算ができないのだ。
「てか、これ、ただの趣味じゃん」
と私が言ったら、警官が出動しそうな殺人事件になりそうなので、やめた。
もちろん、趣味を仕事として成功している人もいる。私の知り合いではアイシングクッキーで有名になったママ友がいる。それは独創的で、他の人が絶対にまねできないぐらいの器用さがあった。また、販売方法についても完全にマーケティングを勉強して、プロとしてやっているから軌道に乗っているのである。
当たり前だが、このママは足し算引き算ができている。
この一件以来、髪飾り300円の彼女と私の距離は離れた(当たり前だ)。
風の噂では彼女は今も、利益度外視の完全趣味であるハンドメイド作品をイベントで販売しているそうだ。
個々の家庭の問題である。夫さんが何も言わないなら、他人の私が何かを言うことは余計なおせっかいである。そして、そもそも税理士という職業柄、物理的観点で物事を見てしまいがちな自分も理解している。
ただ、ひとこと言わせてほしい。
母たちよ、お金の勉強、もっとしよう。
いや、足し算引き算ができる30代の女になろう。
そして、趣味と仕事の違い、趣味が仕事になる場合の厳しさを知ろう。
子供が小さい時に、なるべく長い時間を一緒に過ごしたいという気持ちはわかる。
ほとんどの場合、親にとって自分の子供は無条件にかわいい。大切だ。
しかし愛おしくて大事だからこそ、本当に子供のためを考えるなら、死に物狂いでお金を稼ぐだろう。どう考えてもお金はやはり、選択肢を広げるものなのだから。
こんなことでいちいち突っかかってるから、私にママ友が少ないんだよ……。