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高橋綾子「綾子のギョーカイ総受けグルメ手帖」

黒壁の秘密のお店が日本酒好きの“聖地”と呼ばれる所以を教えます!〜animism bar 鎮守の森〜

とにかく竹口さんの分析力がすごい。

今もそうですがその日の天候、乾燥、店内の温度、湿度を考えてお酒を選ぶ。
さらにお客さまの飲み方や速度や表情から、今その人の舌がどんな状態か、どんな味が好みかを分析する。しかもそれを同時に20人の予測ができるって、驚きですよ。

「20人全員が初めてのお客さまだと無理かもしれません。だから会員制にしているのです。常連さまの好みは把握しているから、ご新規のお客さまに集中できるので可能なのです」

いやいや、そもそもそんな分析ができる人、ほぼいませんから。

日本酒に合う料理であり、料理に合う日本酒なのです
日本酒に合う料理であり、料理に合う日本酒なのです

さて、こちらのメニューはと言いますと、おまかせの日本酒ペアリングコース(6品)のみ。メインだけ「和牛たたき」「旬の煮魚」「生牡蠣」から選べます。

本日の1品目は広島の純米スパークリング「SEIKYO」と「冷製冬瓜煮」。
喉を潤すにはちょうどいい加減の発泡具合で味わいはスッキリ!
これは飲み過ぎ注意なくらい、飲みやすい。

ところでスッキリの秘密はグラスにあるってご存知ですか?
このように口径が狭いグラスで飲むとお酒はダイレクトに喉に入ってきます。つまり空気に触れる面が少ないのでキリッと感じるのです。
高さがあまりないので、香りもうまみもバランスよく引き出してくれます。
同じお酒を口径の広いグラスや陶器で飲むと本当に味が違うので驚きますよ。ここではそんな目から鱗なことを次から次へと体験するのです。まるで竹口さんのマジックにかかったように。

サックサクに揚がった「鱸(スズキ)のカツレツ オリエンタル風ソース」は兵庫県明石の「神稲」を。「野条穂」という米は非常にレアだそうです
サックサクに揚がった「鱸(スズキ)のカツレツ オリエンタル風ソース」は兵庫県明石の「神稲」を。「野条穂」という米は非常にレアだそうです

私が初めて竹口マジックにかかったのは4年ほど前。
それまで普通に日本酒を飲んでいましたが、料理と合わせることはあまり考えていませんでした。
なぜなら日本酒の原料はお米なので基本的に和食と合うに決まっているからです。だから好みの銘柄や味で選んでいました。

ところが、竹口さんに会ってその概念は完全に崩壊したのです。

その時は「おでん」が出て、辛子をつけるかどうかを尋ねられました。なぜこんなこと訊くのかなと疑問に思いながらも「つけます」と答えると、「ではこちらのお酒にします」と。
とってもおいしくいただきましたが、疑問は解消しなければ! と竹口さんを捕まえて質問すると、「辛子をつけないと言われたら違う銘柄にした」と言うのです。

ならばそれを飲んでみたい、とお願いして飲んでみると……、

ラベルが楽しい宮城の阿部勘の夏酒「金魚」は変形した口の酒器で。どの部分で飲むかで味わいは無限大に変化する!
ラベルが楽しい宮城の阿部勘の夏酒「金魚」は変形した口の酒器で。どの部分で飲むかで味わいは無限大に変化する!
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高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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