2019.5.9
何が何でも予約を取りたい、心もお腹も大満足のお鮨屋さん〜鮨はしもと〜
料理って作る人を表しますよね。
中でもお鮨はその最たるものだと思います。だって基本的に酢飯とタネで構成されたシンプルの極みなので隠しようがない。
握り方、お魚の扱い、酢飯の味わい、酢飯とタネのバランスなどなど、“好き”の要素はいろいろあれど、あのお鮨が食べたい=〇〇さんが握るお鮨が食べたいってことじゃありませんか?
私が頑張って予約を取っているお店のひとつが「鮨はしもと」です。
大将の橋本裕幸さんの握るお鮨は丁寧で真面目でキリッと筋が通っているけどホンワリと優しさがあってさらにちょびっと遊び心がある。
と、言い切っておいて「僕、そんな人間じゃありません」って言われたらどうしよう、ですが私の印象はそんな感じなのです。
今は17時半と20時半の2部制で一斉スタート。
たまに遅刻してくる方がいると、なぜかみんなで心配してしまう。
「すみません、遅れました」と入ってくるとなぜか何事もなくて良かったと安堵する。
これ、貸切じゃありませんよ。まったくもって赤の他人です。
不思議なのですが、たまたま予約日時が一緒だっただけなのに、なぜか気心しれた友人たちが集まっているかのような雰囲気。そんな居心地の良さを橋本さんとスタッフのみなさまがいつも作ってくれるのです。
お鮨屋さんって初めてだと緊張しますよね。
でもここは心配ご無用、本当に和めますから。
さて、こちらはそら豆や銀杏、きぬかつぎなど、季節によって変わるお通しから始まります。
そしてお刺身があって、「旬のひと口飯」が出ます。これがね、ヤバうま! 今回はホタルイカでした。
タダでさえおいしい富山のホタルイカを丁寧に下処理してから細かく切り、花ワサビと酢飯を和えています。花ワサビの効き加減とか、ホタルイカの細かさとか、すごく良く考えられているはずだけど、そういう“やってます感”がないところも好き。
旬の魚で変わるので、これまで「鮑の肝と白イカ飯」「香箱蟹とイクラ飯」などをいただきましたが、どれも丼で食べたくなるほどの絶品です。
お腹ぐーぐーで来て、このタイミングでごはんものが入ると、胃がちょっと落ち着きうっかりお酒が進んでしまう。
もしかして計算してます?
私が愛して止まない橋本さんの「鮟肝」は味付けがどこよりも好み。
おそらくとっても手がかかっているはずで、これまた飲ませ上手な逸品。
蒸発しているのかと疑うくらいお酒があっという間になくなります。
握りは必ず「コハダ」から。
あぁ、本当に橋本さんは酢の魔術師だわ。
酸の加減がピンポイントで完璧なのです。
お米だって魚だって、その日や個体で状態が微妙に違うことがわかっているのに、いつも“今日が最高”と言える。
おそらく魚の締まり具合で包丁の入れ方も変えていると思われます。
お鮨屋さんの腕がわかるって言われるコハダ。
こちらはどうかと言いますと、一瞬コハダそのものを味わえます。その後、何秒でほどけるのか計算したかのように酢飯がタネと一緒になって喉を通る。
たった5cmほどの“料理”でそんなことができるってすごくないですか?