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味よし、ワインよし、雰囲気よし、で、まだ予約も取れるはず、の貴重なイタリアン〜アルモニコ〜

いつも変な冗談言ってばかりですが、料理のことを語ると一瞬にして真剣になるササモニコこと、佐々木泰広オーナーシェフ
いつも変な冗談言ってばかりですが、料理のことを語ると一瞬にして真剣になるササモニコこと、佐々木泰広オーナーシェフ

ササモニコがお料理を始めたのは、地元の大分から神戸に移り住んだ22歳から。

きっかけは今もお世話になっているイタリア料理人の先輩が自宅で料理を作ってくれる度に調理器具を置いていってくれたので、ある日、自分で作ってみたら料理の楽しさに気がついてしまったというのが始まり。

それからイタリア料理店に勤め、勉強するために25歳でイタリアへ。
何のツテもなく言葉も話せない。
所持金15万円のサバイバル生活だったけれど、出会った日本人に助けてもらって、やっと働き口が見つかり、あれやこれやの難関を何とかくぐり抜け、最終的には世界一に輝いたモデナの「オステリア フランチェスカーナ」のマッシモ・ポットゥーラの下で修業し、ササモニコの料理のベースができあがった。

磨きがかかった腕を引っさげて、今度は麻布十番「エノテカ・キオラ」、恵比寿「ティグレ」でその実力を披露することとなる。

そして東京に来て10年、いよいよ自分の城、アルモニコを恵比寿にオープンしたのです。

「タリオリーニ 剣先イカのラグー」 ササモニコの手打ちパスタは本当においしい
「タリオリーニ 剣先イカのラグー」 ササモニコの手打ちパスタは本当においしい

きっと料理の神様はササモニコを選んだのだと思います。

あまり知られていないのかもしれないけれど、ササモニコの料理は食材や味の重ね方が天下一品。
トマトのジュレも然り。見た目がシンプルでも実はたくさんの味が存在していて、口にするとそれらが見え隠れしながらひとつにまとまっているのです。

その味の膨らみ方には本当に感動します。

モデナの郷土料理「コテキーノ(豚肉ソーセージ)」も盛り付けでモダンにしてしまうササモニコ
モデナの郷土料理「コテキーノ(豚肉ソーセージ)」も盛り付けでモダンにしてしまうササモニコ

店名のアルモニコの由来はハーモニー。

「イタリア料理って足し算だと思うんです。オリーブオイル、ニンニク、鷹の爪で香りを出したら、タマネギを炒めて甘みを出して、白ワインやトマトを入れてと、味の層を重ねていってひとつの味を作る。そういうところがハーモニーだと思ったんです」
と話すササモニコ。

それは料理だけではなく人や食材も同じ。
例えばお魚は大分の友人から仕入れていて、つまりイタリア料理と日本の食材とが奏でるハーモニーだし、お友達とササモニコのハーモニーでもある。店名どおり、アルモニコにはハーモニーがあふれているのです。

イタリア修業時代に学んだ原始的な炭火焼にしたのは、北海道白糠町の蝦夷鹿
イタリア修業時代に学んだ原始的な炭火焼にしたのは、北海道白糠町の蝦夷鹿

コースはトラディショナルなものと独創的なものが混在していて飽きさせないし、何よりハズレがないのがすごい。

代官山に移転するにあたり何か変えたものは? と訊くと
「カウンターメインでライブ感のある料理を提供すること、もうひとつ絶対にやろうと思っていたのがイタリアで学んだ原始的な炭火焼き」
と答えてくれた。

原始的というのは、調理機器を使って温度と時間を設定するのではなく、自分の目と耳と感覚で焼くことだそう。

今、レストランはジャンルレスになりつつあるからこそ、イタリア料理店ならば“イタリア料理を食べている”って感覚は大切だと思うのです。

イタリア料理を伝える……それができるのはササモニコのようにちゃんと学んだ料理人だけなのですから。

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高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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