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2026年には水星からリアル配信が見られるかも? 計画実施まで21年かかったJAXA「みお」の水星探査

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現在、太陽系以外の惑星は5,500個以上発見されていますが、この発見の先には「宇宙において、生命はどういう環境で存在するのか?」という問いが生まれます。
「みお」は、太陽系以外の場所で地球外生命体が誕生し、そして繁栄できるのかを解き明かす可能性も持っているのです。

水星は太陽系の中で、最も太陽に近い星です。一方で、太陽系以外に目を向けると、すでに見つかっている惑星の中で、中心の星からもっと距離が近いものも多くあります。
太陽系の中で、水星はどういう存在で、太陽系が作られる中でどういう役割を担っているのかが明らかになることで、太陽系以外において、水星と同じような位置関係にある惑星での生命の可能性を考える材料になるんです。

私が運営するPodcastで、国際水星探査ミッション「ベピコロンボ」のプロジェクトサイエンティストを務め、「みお」の科学的な側面の責任を担う村上豪さんに出演いただいて、プロジェクトについてお話を聞いたことがあります。
その際、「注目してほしいのは、水星に到着してからの動きです。欧州のミッションと一緒に水星についてからは、お互いが分離してアンテナを展開するなど、重要な運用を行います。これがミッションの中で最もクリティカルな段階です」と重要なポイントを語っていました。

実際にお話をされているときのその熱量の高さから、このポイントこそがミッションの成否に関わる本当に重要なフェーズだと実感させられました。

さらに期待したいのは「遠い水星でのミッションを時差なくできるだけリアルタイムに情報を提供していきたい」と、語っていた点。
というのも村上さんは、日本が初めて月面着陸を成功させた「小型月着陸実証機 SLIM」の着陸時の中継担当もしていました。 2024年1月のこのライブ配信の注目度がとても高かったことは私の記憶にも残っていて、日本時間午前0時をすぎているにもかかわらず、同時接続30万を超えるほどでした。

このライブ配信を成功させた村上さんの言葉には、強い説得力があります。水星探査の科学的な意義と、その挑戦を同時に共有し、楽しめる場を提供してくれるという、新しい時代の高揚感を持ち合わせているのが、「みお」の特徴です。

水星到着予定は2026年11月。まだ少し時間がかかるので、これからも一緒に注目していきましょう。

この記事のお供はこのお酒!

アメリカカリフォルニア州の「2022 ボニー・ドゥーン・ヴィンヤード ル・シガール・ブラン セントラル・コースト」という白ワイン。

「ボニー・ドゥーン・ヴィンヤード」はなかなかユニークなエピソードを持っているワイナリーで、「ル・シガール・ヴォラン」という「空飛ぶ葉巻」という意味を持つワインが代表作です。これは、1950年代に北米と欧州でUFOの目撃騒ぎが社会現象になった時に、ある村の村長が、その村の上空と畑へのエイリアンの侵入を禁止する条例を制定した、という奇想天外なエピソードに由来しているそう。この白ワインも、エチケットにUFOが描かれていたり、蓋にはエイリアンの絵があしらわれているのが特徴です。

味は芳醇な香りを持っている一方で、非常に飲みやすく、正直飲み過ぎてしまうくらい。ぜひ手に取っていただきたい一本です。

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 次回連載最終回は2月14日(金)公開予定です。

参考資料

ミッション/水星磁気圏探査機「みお」

「みお」つくし 世代も国境も越え水星へ挑むベピコロンボの物語 第12回/宇宙科学研究所

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佐々木亮

ささき・りょう
理学博士。独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わり、その経験と知見を生かし、ポッドキャスト「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信している。旬の宇宙トピックスを親しみやすく解説する内容で注目を集め、Apple Podcast日本ランキング3位を達成。第3回Japan Podcast Awardsも受賞する。現在はデータサイエンティスト、中央大学講師として活動している。
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