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毎日が暑すぎる!宇宙から見る地球温暖化とコロナ禍のちょっと面白い関係性

1日10分、毎日更新されるポッドキャスト「宇宙ばなし」が人気を呼び、注目を集める佐々木亮さん。

この連載では、独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わった経験と、天文学分野で博士号を取得した知見を活かし、最新の宇宙トピックを「酒のつまみの話」になるくらい親しみやすく解説します。そして、宇宙と同じくらいお酒も愛する佐々木さんが、記事にあわせておすすめの一杯もピックアップ。

毎日が猛暑日続きの今年の夏。地球温暖化を体感せずにはいられません。今回はその地球温暖化を宇宙からの視点で解説します。

第19回「宇宙からみた地球温暖化」のはなし

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温暖化やコロナ禍の世界を宇宙から観測する意義とは?

今年も夏がやってきました。それにしても暑すぎます。地球温暖化という言葉が当たり前になってから、天気予報で頻繁に例年より暑いと言われていることもあり変化を実感しやすくなっている気もします。

ただ、玉石混交の情報が世の中に溢れているせいで「本当に地球温暖化って進んでいるのか?」と私自身は少し疑問に思うことがあった、というのは正直に白状しておきます。
そんな中で、宇宙から地球を見る人工衛星が、本当に地球温暖化が進んでいることをデータで示していて、最近ようやく納得をしました。

ということで今回は、宇宙から地球を観察することの意義とおもしろさについて、地球の気候変動にまつわる現象を宇宙から観測している人工衛星「いぶき」の活躍を中心に解説していこうと思います。
しかも、この「いぶき」はコロナ禍が広がることで変わった世界の様子まで宇宙から見ることにも成功していました。

なぜ人工衛星が私たちにとって重要なのか、意外とわからないと思うので、この点もあわせて整理していきましょう。

イメージ iStock.com/piyaset
イメージ iStock.com/piyaset

私たちの生活はGPS衛星を代表として、様々な人工衛星によって支えられています。さらに、人工衛星の活用は科学研究もサポートしてきました。
その中で、私たちの住む地球全体の“健康診断”をしてくれる人工衛星があります。
「いぶき」と呼ばれる衛星は、「宇宙から、世界中の温室効果ガスを均一に観測」することをミッションに、2009年から稼働しています。2018年からは後継機の「いぶき2号」が運用されていますが、JAXAのHPでもこの2つをまとめて「いぶき」と表現しているので、ここから先はこの記事もそれに則って記します。

「いぶき」は地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを宇宙から測定し、地球温暖化や気候変動の科学的な理解を深めて、温暖化対策に貢献することを目的にしています。
SDGsの目標の中にある「気候変動に具体的な対策を」に対して、宇宙からその情報を取得してくれている衛星です。

この観測によって、2009年から連続的に温室効果ガスの変化が捉えられていて、明らかにその量が増加していることが分かるようになりました。

2009年から2020年にかけていぶきが観測した二酸化炭素濃度の変化 画像提供/MOE,NIES,JAXA
2009年から2020年にかけていぶきが観測した二酸化炭素濃度の変化 画像提供/MOE,NIES,JAXA

上の図は、「いぶき」によって2009年から2020年にかけて宇宙から観測した全球の二酸化炭素濃度です。その濃度が低いほど青く、高いほど赤くなっています。左から右に1月から12月、上から下にかけて2009年から2020年までの変化になっていますが、どんどん赤くなっているのがわかります。
つまり、地球温暖化の原因となる温室効果ガスが年々増加しているということです。

僕は科学研究をしている身なので、肌で実感する「年々暑くなってる気がするなぁ」という自分の感覚よりも、こういった図を見ると人一倍納得してしまいます。自分の体の感覚は信用なりません。

このデータ以外に、いぶきの観測で非常におもしろい結果が出た事例があります。
それは新型コロナウイルスのパンデミック発生時のことです。

2020年1月から4月くらいにかけて世界中で大規模な行動規制が行われたのは、まだ記憶に新しいと思います。
「いぶき」は一部の地域に絞った観測が可能であり、この期間の東京やニューヨークなど各国の大都市での二酸化炭素量が調査されまた。その結果、行動規制がかかっていた時期のこれらの地域は、地球全体の二酸化炭素が増加している中で前年に比べて二酸化炭素量が減少していることがわかりました。

温室効果ガスの一つとして二酸化炭素を紹介しましたが、二酸化炭素は通常の生活や経済活動(車の移動量など)において排出される一般的なものですね。
経済活動が停滞した時期と、宇宙からの観測が一致したことは、人類の行動がどれだけ地球環境に対して影響を与えているのかを実感させられます。地球全体での二酸化炭素量が上がり続けている中、この傾向が見えるのは興味深いです。

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佐々木亮

ささき・りょう
理学博士。独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わり、その経験と知見を生かし、ポッドキャスト「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信している。旬の宇宙トピックスを親しみやすく解説する内容で注目を集め、Apple Podcast日本ランキング3位を達成。第3回Japan Podcast Awardsも受賞する。現在はデータサイエンティスト、中央大学講師として活動している。
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