2020.7.26
やってはいけない!? 「トカゲの尻尾切り」に潜むリスク
トカゲ釣りのコツ、教えます
トカゲ釣りのハイシーズン(大渕の経験談)は2つあります。
ひとつは冬眠明けで、かつ、繁殖期にあたる3~4月。この時期のトカゲは、気温の上がる午後によく釣れます。
もうひとつは、7~9月。この時期の日中は暑すぎるので、涼しい午前中や夕方がねらい目です。
なぜ5〜6月が外れるのかというと、この時期は、メスは卵を抱いていて地上に出てきません。
ニホントカゲの仲間は、トカゲ類でも珍しく卵の世話をするのです。
オスや子どもはもちろん卵の世話をしませんが、梅雨時はそもそもひっこんでいることが多いので釣りには適さないというわけです。
上記のハイシーズン、時間帯で日当たりのよい場所を探せばトカゲは市街地でも見つかりますが、大切なことはトカゲに気づかれる前に見つけること。
こちらが先に発見されると、逃げられてしまいます。これがとても難しい。
慣れれば、トカゲの視線や気配を感じられるようになった人もいます。私もその一人です。
トカゲの尻尾は栄養を蓄える重要な場所
そもそも、なぜトカゲを釣り竿で「釣る」のかというと、他の捕獲方法に比べて尻尾が切れにくいからです。
尻尾が切れてしまうと、研究用に全長を計測できません。
研究では、頭の先からお尻の穴(正確には総排出口)までを体長、尾の先までを全長として計測しますから、できれば尾は切れない方がいいです。
トカゲというのは、危険が迫ると尻尾を切り落として逃げる習性を持っています。
事件や不祥事が起きた際に組織のトップが立場の弱い人をスケープゴートにして責任逃れをすることを「トカゲの尻尾切り」とたとえることもありますね。
だからトカゲの尻尾は「大して重要ではないもの」と思われがちなのですが、これは大きな間違い。
人間の場合、太るのはお腹まわりからですが、トカゲの場合は尻尾から太ります。
つまり、トカゲの尻尾は栄養を蓄える重要な場所でもあるのです。
子供のトカゲの尻尾は青く目立っています。
外敵の意識を目立つ尻尾に向けて、いざという時は尻尾だけ切って逃げるためです。
尻尾は、骨にある切断面でカッターナイフのように切れ、切断面は筋肉が収縮することですぐさま止血されます。
切り離された尾の方は、しばらく勝手に動き回りますから、敵の目をあざむいてくれます。
その間に、本体は逃げるわけです。
しかし、大人になると、次の世代をつくるためたくさんの栄養を尻尾に貯めています。
せっかく貯めた栄養はできるだけ守りたい。だから、尻尾は目立たず背景に溶け込むような色に変わります。体全体が茶色になるわけです。
尻尾を切ることもできますが、そのような身代わり戦法よりは背景に溶け込んで隠れたり、走って逃げたりに戦法を変えるわけですね。