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動物の70%以上は昆虫なんです! どうぶつ科学コミュニケーターが知ってほしい自然界のリアル  

動物のほとんどは「昆虫」

私の場合は、動物学と科学コミュニケーションという自身の専門を融合させて、「どうぶつ科学コミュニケーター」をはじめました。
活動は多岐にわたりますが、各種講演や教室では「動物って何?」という問いかけからはじめています。

みなさんは「動物」というと何が思い浮かびますか? 
ゾウやイヌなどの哺乳類でしょうか。
実際、動物と題した図鑑でも哺乳類しか載っていないこともあります。
動物園だって、そこにいるのはほぼ哺乳類です。

これは、生物学系の人からすると違和感のあることで、科学コミュニケーションのズレにもよくつながります。
専門家が「動物」という言葉を使うとき、それを聞いた非専門家の頭には哺乳類が浮かんだとしても、その専門家が哺乳類だけの話をしているとは限らないからです。

なぜか? 地球上には少なくとも100万種類以上の動物がいると言われています。
そのうちの75%を占めるのが、実は昆虫。残りは、昆虫以外の背骨を持たない動物が20%。
そして、魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類を含む脊椎動物は動物界全体のたった5%なんです。

動物のほとんどが昆虫であることがよくわかる。
動物のほとんどが昆虫であることがよくわかる。

さらに、その5%の大半を占めるのが魚類(約34,000種)。
ジャイアントパンダやネコ、そして人間など、みなさんにおなじみの哺乳類は、脊椎動物の中で最も少ない約5,400種しかいません。
(注意:種数や%は、引用元文献によって多少なり変動します。)

哺乳類は脊椎動物の中でも少数派。
哺乳類は脊椎動物の中でも少数派。

こうしてみると、動物と題した哺乳類図鑑や、ほぼ哺乳類しかいない動物園に違和感がありませんか?
実際には哺乳類なんて動物界の極一部と理解し、今まで動物だと認識していなかったものを動物だと意識する。
この小さなパラダイムシフトが起きるだけでも、世界の見え方が豊かになるのではないでしょうか。

一緒に自然への“解像度”を上げていきましょう!

そんなふうに、みなさんの自然に対する“解像度”が上がるような連載になればいいなと思っています。
とはいえ、次回以降は難しい話をする気はありません。
実体験を絡めて、日常から発見した動物科学を主に紹介していけたらと思っています。
2歳・4歳の我が子らと動物たちとのエピソードも紹介予定ですので、科学に苦手意識のある大人だけでなく、子どもの科学嫌い・理科離れをなおしたい親御さんにも読んでいただけると嬉しいです。

これからどうぞよろしくお願いいたします!

(参考資料)
●JST科学コミュニケーションセンターおよび日本科学未来館制作、戸田山和久(名古屋大学)監修の科学コミュニケーション研修資料

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大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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