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満員の日産スタジアムを求め続けた兵藤慎剛。その願いが叶った2013年ホーム最終戦への消えない想い

チームメイトとイメージが共有できた完璧なベストゴール

 このシーズン、兵藤はキャリアハイとなる7ゴールを挙げている。特に気に入っているゴールが第21節アウェイのFC東京戦での一発だ(8月17日/2-1)。前半31分、中村のパスを左のペナルティーエリア角で受けて、端戸仁にパスを当てる。そのリターンをワンタッチでゴール右隅に流し込んでいる。

「僕がこう動いたら、こうボールが来るだろうなと思っていたし、トラップで相手の視線をずらしておいて中に端戸が見えたので、(マークに来た)相手の股を通すパスで渡して自分が潜っていこう、と。股を通されたら、相手は反応が遅れますから。強いシュートじゃなくてゴロで、あのコースに打つ……。最初から最後まですべて自分のイメージどおりのゴールだったので、自分でも怖いくらいでした(笑)。
 僕としては自分のイメージとチームのイメージが共有されて、そのとおりになったゴールが一番うれしいんです。実際そんなゴールが2013シーズンは多かった」

 このゴールの直後、兵藤と抱き合った中村が誇るようにガッツポーズを繰り出している。周りを活かしながら自分を活かす。中村にも兵藤にもその特徴がある。2人のサッカー観を映し出す、珠玉の一発であった。

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二宮寿朗

にのみや・としお●スポーツライター。1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「サッカー日本代表勝つ準備」(実業之日本社、北條聡氏との共著)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)など。現在、Number WEBにて「サムライブル―の原材料」(不定期)を好評連載中。

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