2023.3.2
満員の日産スタジアムを求め続けた兵藤慎剛。その願いが叶った2013年ホーム最終戦への消えない想い
チームメイトとイメージが共有できた完璧なベストゴール
このシーズン、兵藤はキャリアハイとなる7ゴールを挙げている。特に気に入っているゴールが第21節アウェイのFC東京戦での一発だ(8月17日/2-1)。前半31分、中村のパスを左のペナルティーエリア角で受けて、端戸仁にパスを当てる。そのリターンをワンタッチでゴール右隅に流し込んでいる。
「僕がこう動いたら、こうボールが来るだろうなと思っていたし、トラップで相手の視線をずらしておいて中に端戸が見えたので、(マークに来た)相手の股を通すパスで渡して自分が潜っていこう、と。股を通されたら、相手は反応が遅れますから。強いシュートじゃなくてゴロで、あのコースに打つ……。最初から最後まですべて自分のイメージどおりのゴールだったので、自分でも怖いくらいでした(笑)。
僕としては自分のイメージとチームのイメージが共有されて、そのとおりになったゴールが一番うれしいんです。実際そんなゴールが2013シーズンは多かった」
このゴールの直後、兵藤と抱き合った中村が誇るようにガッツポーズを繰り出している。周りを活かしながら自分を活かす。中村にも兵藤にもその特徴がある。2人のサッカー観を映し出す、珠玉の一発であった。