2020.3.27
なぜ、病みつきになる? 賀来賢人主演ドラマ『死にたい夜にかぎって』原作者・爪切男の魅力を徹底解剖!
何はともあれ、じわじわとブームの兆しが見える中、『よみタイ』で連載中のスクールエッセイ『クラスメイトの女子、全員好きでした』も好評の爪を丸裸にすべく、彼を担当する二人の編集者、『週刊SPA!』の高石智一氏と『よみタイ』の宮崎の三者による鼎談を実施した。さてさて、どんな話が飛び出すのか?
(取材・文/坂田正樹)
ドラマ化は俺にとって奇跡的な出来事(爪)
――爪さん渾身の一作『死にたい夜にかぎって』が連続テレビドラマ化、しかも主人公・小野浩史役を賀来賢人さん、恋人役の橋本アスカ役を山本舞香さんという豪華キャスト。第一報を聞いた時はどんな気持ちでしたか?
爪:完全にドッキリだと思いました。絶対ウソだと思って、撮影現場も見学させていただいたんですが、最近のドッキリは手が込んでいるので、それでも信じられなかった。第一話が放送された日も友達に電話して、「お前の家のテレビでもドラマやってるか?」と確認したくらい(笑)。結局、ツイッターでみんながつぶやき出したのを見て、ようやく信じることができた。それほど俺にとっては奇跡的な出来事でした。
高石:映像化のお話はたくさんいただいたのですが、いちばん最初に声をかけてくださった村尾嘉昭監督(『アンナチュラル』『リバース』他)に託すことにしました。ドラマを観ながら、村尾さんでよかったなって、毎週思っています。ドラマ、素晴らしかったですよね?
爪:俺の場合、ベースが自分の実体験なので、身につまされる部分とか、改めて気づかされる部分も多かったですね。「俺ってこんなにダメな男だったのか?」みたいな(笑)。でも、ドラマは本当に素晴らしかった。最初は、恥ずかしいやら、信じられないやらで、恐る恐るテレビをつけたんですが、賀来さんと山本さんの最初のシーンを観たら、全部観たくなっちゃって。それくらい力を感じたので、ありがたかったです。
高石:撮影現場や先行試写のイベントで、何度か賀来さんとお会いしたんですが、小顔だしスタイルもよくて、どの角度から見てもかっこいい。でも、このドラマではそれを全て打ち消すかのように、冴えない主人公・浩史に寄せていて、観ているうちに爪さんとダブって見える瞬間があって驚きましたね。各話30分のドラマですが、「短すぎる、もっと観たい!」っていう気持ちになりました。
宮崎:確かに賀来さんと山本さんが醸し出す世界観が凄く良かったですね。特にアスカを演じた山本さんが飛び抜けていて、この子だったら絶対に好きになるよなって。視聴者も、浩史がなぜ彼女に惹かれたか、理由がなくても一発でわかる。「大事にしたい」という女の子像が初回から描けていたのは、凄いなと思いました。
高石:男の手に負えない感も出ていましたしね。好きになるのを躊躇してしまうような危険性というか。でもそこも原作のアスカにピッタリで。キャスティングされた方、すごい。
――唾を売買するシーンは、やはり映像で観るとインパクトありますよね。
爪:俺も話を聞いていただけなので、おおっ!てなりましたね。放送を観た人も、「本当にこういう世界あるの?」って言ってましたけど、本当にあるんですよ。
高石:いわゆるブルセラの系統ですよね?
爪:そうです。マニアがよく使う某出会い系サイトがあって、そこにみんな暗証番号を入れないと見られない掲示板を作るんですが、ここの管理がかなり緩くて、ちょっとえげつないことを書いても消されないらしいんですよ。そこに「唾売り掲示板」があったらしくて、アスカもここで話を進めていたようです。今はわかりませんが、バイトとして考えると割がいいので、結構やる人、いたらしいですよ。