2020.1.4
謹賀新年! 著者・明先生が新年に読んでほしい「ツアーナース」思い入れたっぷり8選
愛情不足やネグレクトがテーマになった『さびしい子ども』
愛情不足やネグレクトなどがテーマとなった第4回。明先生にはこんな思いがありました。
「このエピソードのような子には、ツアーナースを始めたばかりの頃から何度も出会っています。愛情不足は診断が下るわけではないので、断定できるものではないけれど、大人に何かを求めている子どもたちが確かにいて、その理由は様々でした。このお仕事をすることで彼らに出会って、『こんな子がいるんだ』と知ると同時に、『そういえばいたな』と、自分の子供時代や、これまで出会ってきた子どもたちを思い出しました。私が気づいていないだけで、実は身の周りにもいたんだなと思います。
ツアーナースをやってみて初めて、私は今まで自分の目の届く範囲しか知らなかったんだなと思うことがたくさんありました。その思いを連載初期のころに描けたことや、読んでくれた方が同じような思いになってくれたことがありがたかったです。
あと、コミックスの1巻の表紙になったくらい、女の子がかわいく描けて満足しています。ぜひTシャツにもご注目いただけたら嬉しいです」
「知らなかった!」「初めて知った!」という声が多かった3作品!
ここから紹介する3つの作品は「知らなかった!」「初めて知った!」という感想が多かったことで思い入れがあるそう。
「インスリン注射はドラマや映画などでも使っている子どもの描写がしばしばみられるので、知っている方も多いと思います。けれど、低血糖症やその対応としてブドウ糖やアメなどを持ち歩いている子がいることなどは知らない方も多かったようです。『自分が子どもの時に、学校で一人だけアメを食べるのが許されている子がいたら私も“ずるい”と言ってしまうかもしれない』という感想をいただいたのが印象的でした。
人工肛門(ストーマ)についても、その存在を知らない方、聞いたことはあるけど具体的なことはわからないという方の反応が多かったです。また『オストメイトトイレ』(お腹の部分に十字のマークがついたトイレ)の意味を初めて知ったという方があまりに多くて、本当に驚きました! でもよくよく考えてみると、私も看護師でなければ、そのマークの意味を知る機会はなかったかもしれません。そう思うと、みなさんに伝えられる機会になってありがったです。
てんかんは、私自身もすべてのてんかん発作をみたことがあるわけではありません。医療従事者でさえそうなのだから、そうでない方は知らなくて当たり前だと思います。医学や看護の知識には、知っていたら、理解が少しでもあったら、もっと豊かになれる、役に立つものがいっぱいあります。でも、実際は、病気になって初めて調べたり、聞いたりすることがほとんどだろうし、私も看護師でなければそうに違いありません。
今の時代は医療に限らず、知っていたほうが良い情報がたくさんあふれていて、すべてを勉強しようとすると大変です。だからこそ、みなさんの日々の何気ない日常の中で、ちらっと見かけたこの作品を、何も気負わず読んで楽しんでいただき、でも気がつくと頭の片隅に知識として残っていたりするといいなあ、と思って書いています」