2020.6.20
東京都知事選が10倍面白くなる! 選挙取材のプロが伝授。「選挙のほんとう」がわかる5つのポイント
ポイントその3「他国に比べて異常に高い日本の供託金」
選挙に出る人が少ない一因として、高額な「供託金」の存在を指摘する声があります。
日本で選挙に出るためには定められた金額を法務局に預ける必要があります。これが「供託金制度」です。預けた供託金は一定の得票数がないと没収されてしまいます。
日本の供託金は、世界と比べる非常に高いのが特徴です。
日本は衆議院選挙区立候補の供託金が300万円、参議院比例代表は名簿登録者数×600万円。一方、例えばイギリス(下院)は約8万円、比較的高い韓国でも約135万円です。アメリカやドイツのように供託金制度自体がない国もあります。
もともとは無責任な立候補を防ぐために生まれた制度ですが、政治への熱意がありつつも高額な供託金が壁となり立候補を断念する人が相当数いることも事実です。
畠山さんは「立候補を断念した候補者の中には、有権者が『投票したい』と思える人がいたかもしれない。『政治家のなり手不足』が叫ばれる現在、非常にもったいない話だと思う」と指摘します。
ポイントその4「同姓同名候補が出たらどうなる?」
2020年4月に行われた衆議院静岡4区補欠選挙では、二人の「田中けん」候補が立候補しました。
同一選挙に同姓同名の候補が出た場合、投じられた一票がどちらの候補への投票かを判別するのが難しくなります。そのため、選挙管理委員会は年齢や党派で区別する対応をとりますが、有権者も投票の際には通常以上に注意が必要です。
年齢や党派の記載がないなど、どちらの候補者か特定できない票(疑問票)は、確定票の比率に応じて「按分」(比例配分)されることになるからです。つまり、「有権者が候補者の区別をしっかりつけていないと、自分の推す候補の票が減ってしまう可能性がある」のです。
この疑問票の配分を狙って、意図的に同姓同名の候補者を立てることを公言しているのがNHKから国民を守る党(略称「N国」)です。これには「選挙を冒涜している」とか「選挙妨害だ」と批判する声も少なくありません。しかし、現行制度上では「合法」です。
「有権者がボーッとしていると、大変な状況がやってくるかもしれない」。そう畠山さんは警鐘を鳴らします。