鼻くそを味わう・片岡さん

小3のとき、爪さんのおばあちゃんが考案した「しそレシピ」が学校のコンテストで優秀賞に選ばれ、実際に給食で提供されることに。
母親のいない爪少年にとって、祖母の味こそ「おふくろの味」。並み居るお母さんたちを押しのけ、祖母が栄冠を手にしたことは大きな喜びでした。

しかし、子どもの舌にしその味はなじみがなさすぎたのか、この給食は大不評。「今まで食べた料理で一番不まずい！」「ドッグフードの方がまだマシだよ」などクラスメイトからは次々に暴言が……。
家で報告を楽しみにしている祖母に、真実を告げることはできませんでした。

喜びから一転、悲しい事件となってしまった「しそ騒動」。傷癒えぬ爪少年に声をかけてきたのが片岡理恵さんです。
彼女は、不評の嵐の中では言い出せなかったけれど、実はおばあちゃんのしそ料理全部が「すごくおいしかった」と言うのです。

でも、爪少年は素直に「ありがとう」と喜べません。
なぜなら片岡さんは「鼻くそを食べる」ことで有名な女の子だったから。

鼻くそを味わう味覚に褒められた祖母の料理。鼻くそを味わうけど、大切な祖母を褒めて味方になってくれた片岡さん。
爪少年はこの複雑な感情とどう折り合いをつけ、そして鼻くそを食べる女子とどう向き合うのか。
その真剣な葛藤がおかしくも切ないエピソードです。
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