呉服屋なのに服を着ない祖父と父

「第6回 服と全裸と父・サピエンス〜猫沢家の服コンプレックスを脱ぎ捨てる2022年、夏」では、猫沢家の「服」に関する感覚が明かされました。

家業は呉服屋で、外出時の装いはビシッと決める猫沢家ですが、家の中では、基本的に祖父と父は裸。

祖父はトレードマークの白い褌ふんどし一丁。かなり晩年になって体が弱るまで、祖父のパンツをはいた姿は見たことがなかった。そして父に関しては風呂上がり後の数時間、完全なる全裸で、娘が年頃になっても一向に気遣う様子も見せず、母が称賛する〝バズーカ砲〟をぶら下げたまま、何時間でも家の中をうろうろしていた。

娘（著者）の親友と全裸の父が家の中で遭遇してしまったことも……。

突然、リビングのドアが勢いよく開き、そこには生まれたままの父・サピエンスが立っていた。唖然あぜんとする私の横にNの姿を捉えた父は、次の瞬間、目にも止まらぬ速さで被かぶっていたヅラをむしりとり、股間に素早くあてがった。プリンセス天功も舌を巻く、まさに華麗なイリュージョン。そして、Nに向かって「いらっしゃい。ゆっくりしてってね」と、気取った口ぶりで言い放ち、それから台所へと消えていった。

“ヅライリュージョン”と、親友Nの視力が悪かったおかげで、「まだうら若き乙女だったNの心に、バズーカ砲のトラウマは植え付けられずに済んだ」のが、不幸中の幸い！？