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『ご機嫌剛爺』出版記念対談! 逢坂剛×酒井順子 仕事も趣味も“ご機嫌”を保つ人生の流儀

上機嫌の保ち方は、苦手な人とは付き合わないこと

――今回の本のタイトルにも入っている「機嫌」の保ち方についてもおうかがいしたいのですが。

酒井 ぜひうかがいたいです。私は割と低テンションで安定しているんですけど、逢坂さんはいつも上機嫌でいらっしゃる。

逢坂 そう言われると、うれしいような、恥ずかしいような気もするけど……。

酒井 どうやって上機嫌を保たれているんですか。たまには誰かとけんかをすることなど、ないのでしょうか?

逢坂 女房と、口げんかすることはあるけど、女房の場合は、ちょっとかっとなって5分ぐらいしゃべると、まるでけんかなんかしなかったように、普通にもどるわけ。その間、私は黙っていて、一人でしゃべらせているわけね。そうすると、すぐ仲直り。男同士のけんかは、したことがないね。

酒井 仕事でのトラブルとか、嫌な人に会ったとか、そういう時は?

逢坂 嫌な人には、最初から会わない。そもそも、それほど嫌いな人って、いないからね。本当に、これ苦手だなと思うタイプがいることはいるんだけどね。

酒井 どんなタイプが苦手なんでしょうか?

逢坂 押しが強くて、がりがり言ってくる人は、苦手なんだよね。今回の本にも書いたんだけど、「あんなに、若い頃に面倒見てやったのに、その言いぐさは何だ」というような、昔のことを恩着せがましく言ったりとか、そういうタイプは苦手なんだよな。そういうのがちらちら見える人とは、なるべく付き合わないようにしてるね。
苦手な人とは、付き合わないのが正解ですよ。でも、そこまで苦手な人というのは、いないからね。大体適当に合わせていれば、のべつ会う必要はないわけだから。のべつ会う人は、要するに昔からのお友達ですよ。作家になってからは、自分の担当者とかね。でも、今までこの人は苦手だな、と思った担当者は、ほとんどいない。ちょっと、仕事ぶりが合わないな、という人はいたかもしれないけど、幸いにしてあまり長くは担当してなくてね。
要するに、嫌な人とはお付き合いしなければいい。それはできるんじゃないのかな。
あなたの場合、言いたいことがあったら、がんがん言う方?

酒井 言わないです。

逢坂 だろうね。結局、自分の中で抑えるわけでしょう、仮に言いたいなと思っても。

酒井 そうですね。あとは友人、知人にぶつぶつ言ったり。

逢坂 でも、ガス抜きは、必要かもしれないよ。

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新刊紹介

逢坂剛

おうさか・ごう
1943年東京生まれ。80年「暗殺者グラナダに死す」で第19回オール讀物推理小説新人賞を受賞。86年に刊行した『カディスの赤い星』で第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞。2014年、第17回日本ミステリー文学大賞、15年『平蔵狩り』で第49回吉川英治文学賞を受賞。20年、「百舌」シリーズ完結時に第61回毎日芸術賞を受賞。

酒井順子

さかい・じゅんこ
1966年東京生まれ。高校在学中から雑誌にコラムを発表。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆専業となる。
2004年『負け犬の遠吠え』で婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞。
著書に『裏が、幸せ。』『子の無い人生』『百年の女「婦人公論」が見た大正、昭和、平成』『駄目な世代』『男尊女子』『家族終了』『ガラスの50代』『女人京都』『日本エッセイ小史』『老いを読む 老いを書く』の他、『枕草子』(全訳)など多数。

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