2020.12.30
小さな町から甲子園に初出場した平田高校(島根)。熱き思いは地元の園児たちに受け継がれる
野球の普及活動で学んだこと
野球のルールも知らない保育園児や幼稚園児に野球を教えようとしても、なかなか難しい。しかし、彼らは子どもたちの気をうまく引きながら、野球の楽しさを教えようとした。
「野球の普及活動をすることで学んだことがあるし、野球を始めたころの初心に戻ることができたと部員たちは語ってくれました。驚いたのは、野球のプレーに役立ったということです。センターの坂田大輝くんは、『子どもたちは動き回るので野球教室の際は視野を広げておかなくてはならない。視野を広げるという野球教室のおかげで、内野の後ろから野手を見て、ポジショニングの指示を出せるようになった』って言っていましたね」
平田高校OBである植田悟監督が指揮をとるようになったのは2017年。普及活動を行うように提案した植田監督は、野球教室の効能についてこう語っている。
「子どもたちは楽しんでいるか、危なくないかということに注意を払って、野球の魅力を伝えるための創意工夫は、練習や試合にも生きる」
選手たちはケガをしないように手作りのバットを用意したり、スポンジボールを使った的当てを作製したり。妹や弟よりも幼い子どもたちに野球を楽しんでもらうためにさまざまな工夫を凝らした。子どもたちに教えることの意義について、普及班の班長である坂田はこう言う。
「普及活動で会った子どもたちが、『野球をやりたい』と言ってくれるので、そういう言葉を聞くとやってよかったなと思います。今回、普及活動が甲子園につながったんですけど、子どもたちが『頑張って』と言ってくれるので、やりがいを感じました」
もちろん、難しさはある。
「はじめは、子どもたちに野球を教えた経験がないので、やっぱり不安な気持ちがありました。部員のみんなで気をつけているのは、子どもたちと目線を合わせて話すということ。そうすることで仲良くなれるし、楽しい雰囲気をつくれるので」