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小さな町から甲子園に初出場した平田高校(島根)。熱き思いは地元の園児たちに受け継がれる

お兄ちゃんたちのカッコいい姿を見てね

平田の選手たちが甲子園に登場したのは8月11日。対戦相手の創成館(長崎)は、昨秋の九州大会でベスト4に入った強豪だ。

先発したエース・古川雅也が1、2回を三者凡退で抑えたが、3回に1点を許した。平田打線は創成館の3人の投手に抑えられ、終盤に古川が打たれて0対4で敗れた。試合後、植田監督が涙を浮かべながらこう言った。

「センバツがなくなって、夏の選手権も中止になりました。でも、日本高野連のおかげで、こうして甲子園交流試合に出させていただけることになりました。勇気ある挑戦ができたと思います。
この間、選手たちの気持ちもかなり上がり下がりがあったのですが、私自身の指導力を試されるといいますか、こういうときこそ、子どもたちを勇気づけるといいますか、希望を見出せるようなことを考えながら指導をしてきました。表現は適切かどうかわかりませんが、指導者としていい経験をさせていただきました」

平田OBである植田監督は地域への思いを口にした。

「母校で甲子園に出るということが私にとってひとつの大きな目標だったんですが、選手たちに、地域の方々に感謝しています。地域での野球教室は、これからも続けていきたいですね。地元の子どもたちに『お兄ちゃんたちのカッコいい姿を見てね』と言って甲子園に来ました。試合には負けましたが、いいプレーはたくさんありましたし、ちびっ子たちも喜んでくれたんじゃないでしょうか。

保育園児が10年後に甲子園を目指してくれればいい。全国の公立高校、または甲子園を目指した球児たちの思いを胸に、思う存分に自分たちの実力を発揮するようにと言って選手たちを送り出しましたが、よくやってくれました」

平田の選手たちが放ったヒットはわずか3本。攻撃面での見せ場は少なかったが、エラーはひとつもなく、彼らの身上である「攻めの守備」をさまざまな場面で披露することができた。

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